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漢字点心
2018年2月20日

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「厭」は、音読みでは「エン」と読み、「いやになる」ことを表す漢字。「厭戦」といえば、「戦争がいやになる」こと。「厭世」といえば、「世の中がいやになる」こと。いかにも暗い漢字で、実際、これに「鬼」を組み合わせた「魘」は、「うなされる」という意味を表す。

そんな漢字と「面」が組み合わさった「靨」が、訓読みでは、愛嬌たっぷりの「えくぼ」と読むというのだから、漢字の世界は不思議なものだ。ただ、「厭」の下に「土」を組み合わせた「壓」は、「圧」の旧字体で、「押しつぶす」という意味。「えくぼ」とは、ほっぺたの押しつぶされた部分だと言われれば、たしかにその通りである。

とはいえ、字面と意味とがこれほどまでに似つかわしくない漢字も、めずらしいのではなかろうか。美少女の頬に「靨」があったりしては、興ざめだ。漢字が存在しているからといって、なんでも漢字を使って書き表す方がいいというわけでは、ないらしい。
2018年2月16日 新聞掲載(第3227号)
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