新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」 アウトロー俳句 / 北大路 翼(河出書房新社)先入観を捨てて ――誰でも楽しめる俳句|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2018年3月6日

先入観を捨てて ――誰でも楽しめる俳句

新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」 アウトロー俳句
著 者:北大路 翼
出版社:河出書房新社
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この本は俳句を一部の有識者のものにしてしまった人への復讐です。俳句は、風流なものではありません。俳句はもっともっと過激で、もっともっと身近なものです。

はっきり言います。俳句は誰にでも作れます。予備知識は要りません。逆に何もない方が素直な俳句が詠めます。素直さはそのまま感動です。

逆に素直にものごとが言えたらそれだけで詩人です。世の中は嘘ばっかりです。素直になると傷つきます。詩人は人のかわりに傷つくのが仕事です。本当は詩人はカッコいいのです。なんでモテないのかなあ。

僕たちは人間を詠みます。人間も自然の一部です。人間は汚いです。卑しいです。だからエロもグロも俳句にします。人間の歌です。

そして俳句は誰にでも読めます。意味がわからなくても、自分なりの感じ方ができればそれが正解です。単語一つでもいいです。自分の好きな言葉に出会えれば心は動きます。

本書に収録されている屍派のメンバーの八割が初心者です。僕は何も指導したことはありません。ただ句会で一緒に笑っているだけです。笑ったり、泣いたり、怒ったり――こんな当たり前のことを僕たちは確認し合っているだけです。

一句紹介します。

 春一番次は裁判所で会はう   喪字男

裁判所の句です。いろいろな感想をいただきました。法廷で闘争中のその筋の人には、嫌味だなとからかわれました。自分が裁判官で毎日裁判所に行っているのでは、という人もいました。僕はこの句は、夫婦の別れのシーンだと思います。捨て台詞です。離婚が決まり、家を出ていく元嫁。一歩家を出てしまえばもう他人です。まだ未練のある男は本来はないはずの「次」をぼそりと口にするのです。どうです?男女の哀歓の機微を描いたすごい句だと思いませんか。

本書では鑑賞の邪魔にならないように一言だけ僕のコメントつけています。みなさんも自由に俳句を楽しんでみませんか。
この記事の中でご紹介した本
新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」 アウトロー俳句/河出書房新社
新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」 アウトロー俳句
著 者:北大路 翼
出版社:河出書房新社
以下のオンライン書店でご購入できます
2018年3月2日 新聞掲載(第3229号)
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