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漢字点心
2018年3月13日

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自分のパソコンを使っていると、突然、動作がおかしくなって「呪」という漢字が表示される。そんな体験をしたら、だれだって、しばらくは寝覚めの悪い思いをするに違いない。報道によれば、そんなコンピュータ・ウイルスを作った人物が実際に東京都にいて、逮捕されたという。

「呪」を見ても、四角が二つに足が生えた図形だとだけ認識するならば、恐ろしくもなんともない。それが「のろう」という漢字だと思うから、嫌な気分になるのだ。ひらがなで「のろう」と表示するウイルスを作ったとしても、製作者本人でさえ、あまりおもしろくはなかろう。

学問的には、漢字の形が意味を表すのではなくて、その形が示す音声が意味を表す、と説明される。それは間違いのないことなのだが、ぼくたちは時に、音声を飛び越して漢字の形そのものから、さまざまな情報を読み取ってしまう。それもまた、今や漢字の本質的な一部分と化しているように思われる。
2018年3月9日 新聞掲載(第3230号)
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