「日常生活とは逆の時間の流れ」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2018年4月6日

「日常生活とは逆の時間の流れ」

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角幡さんの現在進行中の旅の目的は「プロセス次第で未来が変更されるような旅」で「日常生活とは逆の時間の流れ」を経験すること。『極夜行』の旅にも、永続する不安感に、極夜が体感できている、探検がうまく行っている、と喜びにぞくぞくするシーンがある。私はその突き抜けた心境に、違う意味でぞくぞくした。ある意味馬鹿馬鹿しく、しかし非常に偉大な活動、これはいったいなんだろう? 

角幡さんの文章は素晴らしい。ほとんどの人に共通体験のない、氷と闇だけの世界を、生々しく体感させ、ときに笑わせ、感動させてしまう。また探検家としての卓抜さ。思想的な目的の深さだけでなく、その心体能力も、誰もが目指せる旅ではないんだろう。そんな角幡さんは、達成や完成ではなく、見えない未来や、丸裸にされる世界を望む。(ドMか?)角幡さんにとっての「未知の探検」「新しい表現」とは、自分を問い直すことなのかもしれない。〈北極星がポラリス神として正しい方角を示している以上、まちがっているのは私の身体感覚のほうなのだ〉。裸一貫に近い状態で飛び込んだ先で、自分の身体感覚が間違っていたと、自然に身を委ねきる境地は、すごい。だがこれは『極夜行』ではごく初期段階なのだ。(S)
この記事の中でご紹介した本
極夜行/文藝春秋
極夜行
著 者:角幡 唯介
出版社:文藝春秋
以下のオンライン書店でご購入できます
2018年4月6日 新聞掲載(第3234号)
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