【横尾 忠則】美術は如何に生きるかが問題/GWはドリーム・ウィーク。|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2018年5月15日

美術は如何に生きるかが問題/GWはドリーム・ウィーク。

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アトリエ横の遊歩道(撮影・筆者)

2018. 4.23
 現代美術の最先端は美の追求というよりは知性重点らしい。霊性は美に宿るが知性には宿らない。美術は如何に生きるかが問題、ピカビアが生きたようにぼくは絵画を手放さない。

2018. 4.24
 注文に応じて肖像画など描く。前世で王族や貴族の発注請負職人画家の経験ありやなしや。南天子画廊の青木さん、大量のパンと交換に肖像画持ち帰る。

2018. 4.25
 雨の中、長靴履いてビチャビチャ、ジャブジャブ、ジャンジャンジャ。

ムカシ買った未読本引っ張り出すと、どの本にも赤線。忘却した過去の記憶にア然。

2018. 4.26
 〈学校の体育館で花火事故。その光景を俯瞰で眺める〉〈映画館のスクリーンには赤地に白字で藤純子主演のタイトルが並ぶ。そこで主題歌「緋牡丹博徒」を口ずさむ〉〈郷里の実家の玄関先で父と並んで絵を描いている。それを依頼主が道路から眺めている〉〈カメラマンの横須賀功光さんが自分の死は自殺? と告る〉〈旅先に連れてきたタマが、帰る間際に姿を消す〉。5本立ての深夜夢興行であります。

神戸から山本さん、平林さん、次々回の展覧会の打合せに。秋は海外含めて3本集中しているので、次々回を次々々回に延期。

2018. 4.27
 画家に転向した当初、「美術手帖」で名指しで品性のない文で批判された美術評論家藤枝晃雄氏ご逝去さる。

ある有名な映画俳優の監督作品に出演の依頼を受けるが、難聴で関西弁しかしゃべれない役以外は失礼させて頂きます。

2018. 4.28
 360度ぐるり頭を回転するもどこにも雲影なし。陽の沈む頃、ミニマルな青空に白い月がペタッと張りつく。

東大食堂の壁から消えた宇佐美圭司の大作が処分された。ぼくだって京都駅に描いたセラミックの壁画が、駅新装直前に無断で廃棄処分される。コレ、上から目線の人逹の常識。

2018. 4.29
 〈かつて石田ゆりさんをいしだあゆみさんと間違って東京駅から自宅にタクシーでお送りした大失敗の話を、そのまま克明に誰かに聞かせる〉事実をそのまま反々復々ぷくぷくする夢を見る。〈誰かがぼくのベッドの中に平べったい大蛇を持ち込んだ。死ぬかと思うほど怖かった〉

橋本忍さん百歳誕生祝いの会で、橋本さんは人の話には耳を貸さず全篇、天下国家を論じられた、と山田洋次さんから聞く。百歳でまだ日本の行く末を論じる、さすが映画人。

以前新聞紙上で対談した竹本住太夫さんが亡くなる。「宇宙人の出るような浄瑠璃を書いておくれやす」と頼まれるが……。

2018. 4.30
 〈わが家に母親がいない、と吉永小百合さんに言うと、私がその役を、と言われたので大喜びする高校生のぼく〉。夢はデタラメだが、絵もこうでなくっちゃと夢の神様のお告げ。

2018. 5.1
 ニューヨークからヴィグデン夫妻がニューヨークのY字路が描けたので取りに。あとまだハワイと東京のY字路も注文されている。

2018. 5.2
 〈荒木経惟と森山大道と3人でミャンマーに行く。その時荒木が撮った森山の姿が火焔菩薩のように写っていた〉

国書刊行会の清水さん来訪。カルティエ現代美術財団で発表した123点のアーティストの肖像画集の打合わせに。

2018. 5.3
 〈大きいビル内のレストランに入るが、スマホでしかオーダーができない。すると店員の女性が、じゃ私のスマホでと試みてくれるが、なぜか難航。1時間かかってもまだ終らない〉。疲れ果てて眼が覚める。

昼、神津善行さんと神戸屋へ。演奏しなくてもコンピュータでそっくりの音楽ができると「平成に別れを告げて」のCDを頂く。絵もこーいう具合にいかないものかなあ。

2018. 5.4
 〈大草原にインディアンの部落のような素朴な小さい家があちこちに点在している。その風景を上空から俯瞰している。平和な気分になる〉〈川沿いに貧しい家が並んでいる。窓からはラテン系の子供達が顔を出している。裏に廻って家の中に入ると、そこの住人が描いたと思われる絵が壁いっぱいに並んでいる。貧しい生活の中の豊かさが伝わってくる〉〈有楽町の夜空に蜃気楼が出現したようだと外国人の友人とユートピックな気分で眺める〉。吉祥夢三景。

イチローは無理なく自己の運命路線を成るようにならせている。

2018. 5.5
 画家は毎日が「こどもの日」。

〈突然戦争が勃発。家の入口の倒れた鉄製の柵の下敷になったまま戦時中の支那米を食べる。疲労で風邪気味〉〈町内放送が「ただ今、自殺者が出ました」と通報。それらしい一軒の家を覗く。廊下に普段着の自殺者が寝かされて、医者が「あっちへ行った、行った」と言う〉

昨日買った小林秀雄などを終日読む。

2018. 5.6
 ゴールデン・ウィーク最終日。夢のない昼の暇な生活に対して、夢で忙しい夜の生活、そんなドリーム・ウィークも終った。
2018年5月11日 新聞掲載(第3238号)
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