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ともかくスケッチ 第49回
2016年10月14日

言いたくはないが

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「最近の若いヤツ達は……」というフレーズがよく使われた頃があった。まさしくボク達が若い頃に指摘された言葉だ。理不尽なこともあったがまぁまぁ的を得たものもあった。ボクに向かって言われるならまだしも、なんとなく世代に向かって大雑把な言い方が嫌だった。それなりの歳になっても「最近の若いヤツらは……」は使うまいと心に誓ったものだ。電車の中で小学校低学年らしき児童が高齢のボクにぶつかりながら我れ先にと電車に駆け込み「ママ、ママ」と叫び席を確保した。よろけているボクを横目にしゃーしゃーと席に着くじゃありませんか。「失礼」と一言言ってくれれば、「ゴメンナサイ」の目礼をしてくれれば、あるいは子供に向かって「おじさんに席をお譲りしなさい」と叱責でもしてくれればこちらも納得するのだが……ボク達の世代になかったバギーカーでの電車乗り入れだ。ママ達の行動範囲も拡がり、時間も有効に使える良い時代になったとその使用・効用に関して何の言いがかりを言うつもりはないが、電車の中を我がもの顔で疾走に近い早さで動くのはやめてもらいたい。「そこのけ、そこのけお子様が通る」ってな雰囲気だ。何様のつもりだろう。

M・Rさんという女優さんのRママの一言が耳に残っている。約束の時間に「五分でも十分でもよいから早く行きなさい」と口酸っぱくM・Rさんに言われていた。事情があれば電話をすればよい。いったいあなたは「何様と思っているの」と大勢の前で叱っておられた。素晴らしい教育をされてるなぁと感じいったことを思い出した。「最近の若いヤツら……」と叫びたいところRママを思い出しながらこのフレーズを胸に飲み込んでいる。
2016年10月14日 新聞掲載(第3160号)
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