イギリス・ヘリテッジ 文化を歩く  歴史・伝承・世界遺産の旅 / 宮北 惠子(彩流社)ガイドブックに載ってないもう 一歩踏み込んだイギリス文化|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
2016年10月14日

ガイドブックに載ってないもう 一歩踏み込んだイギリス文化

イギリス・ヘリテッジ 文化を歩く  歴史・伝承・世界遺産の旅
出版社:彩流社
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イギリスの旅の魅力は何かという問いに対する答えは人によって違うが、誰もが頷くのが「文化や歴史の重み」という点である。確かにイギリスには、グランドキャニオンやナイアガラの滝のような雄大な自然遺産はない。しかし、各地に残る遺跡や歴史建造物を訪ねれば、そこには必ず時代を超えてそれを守り続けてきた人々がおり、生活があり、歴史が息づいている。イギリスは文化遺産大国なのである。

イギリス人の古いものへのこだわりは半端なものではなく、彼らの話を聞いていると、古さという言葉がほとんど価値という言葉と同意語ではないかと錯覚するほどである。かくして、遺跡や歴史的遺産には、詳しい説明板や銘板が取り付けられ、訪れたものをいやおうなしに歴史や文化の世界に引き入れる。本書は、イギリス各地の歴史遺産を巡り、その歴史や文化を紹介した本である。

観光旅行で名所旧跡を巡り、記念写真をとりまくりながら、実は自分の立っていた場所で世界を揺るがすような事件が起きていたことを知らなかったというような話が結構多い。ガイドブックには載っていない、もう一歩踏み込んだ知識があれば、旅は十倍も面白かったのにと臍をかんだ経験を持つ人も多かろう。本書はこのような部分を余すところなく紹介した実に便利な本である。

全体は4部構成になっており、第1部でローマやアーサー王など古代の遺跡、第2部ではキリスト教の伝播や王権の歴史遺産が紹介さている。第3部では自然・産業、文化遺産・余暇、第4部ではテムズ川ヘリテッジと、実際の旅で目にするあらゆる遺産が扱われている。情報は著者が実際に現地を訪れて収集しているので、ユニークな上に、資料としての信頼性も高い。

惜しむらくは旅の魅力のすべてを織り込もうとしたために、詳述した部分と捨象した部分に情報の差が出て、ところどころで文化史的な流れがぼやけていることである。しかし、味わい豊かなコラムがその部分を補う役割を果たしており、楽しく読み進めることができる。

EU離脱後の混乱に揺れるイギリスは、前にもまして観光に力を入れており、日本からも多くの訪問者を期待しているという。ポンドの価値が急落したが、これは旅行者にとっては思わぬ幸運で、イギリスを訪れる好機である。事前に本書を読んでおけば、旅の魅力が倍増すること請け合いである。

この記事の中でご紹介した本
イギリス・ヘリテッジ 文化を歩く  歴史・伝承・世界遺産の旅/彩流社
イギリス・ヘリテッジ 文化を歩く  歴史・伝承・世界遺産の旅
著 者:宮北 惠子
出版社:彩流社
以下のオンライン書店でご購入できます
2016年10月14日 新聞掲載(第3160号)
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