田原総一朗の取材ノート「新潟県知事選の結果が示すもの」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2016年10月21日

新潟県知事選の結果が示すもの

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新潟県知事選で、共産、社民、自由など野党各党の推薦を受けた米山隆一氏が当選した。

新潟県知事には、すでに三期務めている泉田裕彦氏が不出馬を表明し、自民、公明は長岡市長だった森民夫氏を推薦した。それに対して、米山氏は民進党の次期衆院選候補に内定していたのに、民進党は、その米山氏を推薦できないというお粗末さで、当初は森氏が楽勝と思われていた。

民進党が米山氏を推薦できなかったのは、連合内部で東電の労組が力を持っているためである。

新潟県は、景気の低迷、とくに若い世代が東京などに出てしまうという問題をかかえていて、その意味では中央と太いパイプのある森氏は、新潟活性化のためにも有利なはずであった。

だが、知事選のテーマは、景気浮揚や地域活性化ではなく、原発問題となった。

柏崎刈羽には七基の原子炉が集中している世界最大級の原発だが、〇二年には重大なトラブル隠しが発覚し、〇七年の中越沖地震では、火災や微量ではあるが放射性物質漏れが起きている。

そして、深刻な事故を起こした福島第一原発と同じタイプの原発なのである。

泉田前知事は、二〇一一年の東電福島原発の事故以来、「事故の検証と総括なしに柏崎刈羽の再稼働の議論はできない」と、東電に対して厳しい注文を突きつけつづけていた。

原子力規制委員会に対しても、原発事故時の住民の避難計画について審査していない、と問題点を指摘していた。

そして、米山氏は、再稼働問題で泉田路線を継承すると明言したのである。

ちなみに、朝日新聞の世論調査では、柏崎刈羽原発の再稼働に対して、反対が六四%、賛成は二八%でしかない。そして反対と答えた人の六四%が米山氏、三四%が森氏に投票していて、この差が決定的となったのだ。

それにしても安倍内閣の原子力政策はあいまいで、一七〇〇〇トンも溜っている使用済み核燃料の最終処理方法も全く定まっていない。これでは国民の原発反対が多くなるのは当然である
2016年10月21日 新聞掲載(第3161号)
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