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漢字点心
2016年10月28日

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音読みでは「コウ」と読み、「鳥のひな」を指す漢字。老荘思想の古典、『荘子』では、人間のことばはもちろん「鷇の音(ね)」とは異なるが、意味がはっきりしていなければ何も言わないのと同じだ、と述べている。ここから、「鷇音(こうおん)」とは、「意味のはっきりしない発言」を指す。

とはいえ、ピヨピヨとひなが鳴くのにも、何かきちんとした意志があるのかもしれない。それを「意味がない」と決めつけるのは、荘子らしくない気もする。

ところで、この漢字は、「殻」と「鳥」から成り立っている。そこで、「まだ卵の殻の中にいる鳥」を指す、という解釈もあるらしい。殻の中でいくら鳴いても、外の世界にははっきりとは聞こえまい。母鳥が気づいて、外から殻を割ってくれるまでは……。

思えば、自分も、いつのまにか「殻の中のひな」になってはいないだろうか。そんなふうに考えて、しばし、反省にふけるのである

2016年10月28日 新聞掲載(第3162号)
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