ポーラ美術館企画展「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ 境界線への視点」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
哲学からサブカルまで。専門家による質の高い書評が読める!
~毎週金曜日更新~

▲トップへ

  1. 読書人トップ
  2. ニュース
  3. 催しもの
  4. ポーラ美術館企画展「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ 境界線への視点」・・・
催しもの
2016年10月28日

ポーラ美術館企画展「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ 境界線への視点」

このエントリーをはてなブックマークに追加
アンリ・ルソー〈エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望〉896-1898年油彩/カンヴァスポーラ美術館蔵
かつて壁や防塁で囲まれていた城砦都市パリは20世紀初頭、都市の周縁に移民や貧困者が住み着き拡張されていった。本展では、その風景をとらえた3人の芸術家、画家のアンリ・ルソーとレオナール・フジタ(藤田嗣治)、そして写真家ウジェーヌ・アジェの作品を中心に、拡張する都市の境界線に映し出される“時代の変貌”に向けられた視線を辿る。

館長の木島俊介氏
ポーラ美術館館長・木島俊介氏は、本展のタイトルにある“境界線”について、「フランスは1850年代から大改造が行われ、市内と郊外の間の垣根が取り払われたように見えるが実際にはそうではなく、途上の境界線がいろいろな意味をもって存在していた。フランスの美術史において郊外に興味が示されていた印象派の時代から、パリの内側に目が向かうエコール・ド・パリの時代に移り、ルソー、フジタ、アジェらが登場してきた19世紀から20世紀への境界線ともいえる。もうひとつ大きな問題として、人間が自分自身の外側から内側へ目を向ける時代の境界線でもあり、いろいろな意味の境界線が今回の展覧会には込められている」と解説する。

本展カタログによれば、「ルソー、フジタ、アジェが引き寄せられたのは、再構築されつつあった都市の輪郭である。ルソーは新世紀の都市の輪郭を、アジェは失われゆく時代の都市の輪郭を見届け、フジタは、貧しく孤独で自由な越境者である自身の姿を鏡のように見つめる。そうした場であったのが、「パリの境界線」であった。」(「ルソー、フジタ、アジェ「パリの境界線」」今井敬子・ポーラ美術館学芸課長)

また、木島館長は作品の楽しみ方のひとつとして、「ルソーの絵の中に描かれている後ろ向きの人物。この人物は風景を見ている人物なのか、あるいは風景を見ている自分というものを言いたくてこういう人物を描き込んだのか、ここにも19世紀から20世紀の過渡期としての境界線の謎がある」。

こうしたさまざまな問いを心に留めながら鑑賞することで、作品と本企画展の理解がより深まると来館者に「謎かけ」を提案した。

当館は、ブナ・ヒメシャラが群生する富士箱根伊豆国立公園内を散策できる「森の遊歩道」、レストラン、カフェも併設。秋の深まるハイシーズンの仙石原で美術鑑賞と自然を満喫できる。

【展示概要】
▼開催=ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285)
▼期間=開催中~2017年3月3日(金)まで*会期中無休、展示替のため臨時休館あり
▼開館=9時~17時(入館16時半まで)
▼入場料=一般1800円
▼問い合わせ先〓0460・84・2111(ポーラ美術館)
▼アクセス=箱根湯本駅から箱根登山電車約40分、「強羅駅」乗り換え、観光施設めぐりバス(S路線またはM路線)約13分、「ポーラ美術館」バス停下車すぐ。または箱根湯本駅から箱根登山バス約40分、「ポーラ美術館」バス停下車すぐ。http://www.polamuseum.or.jp/
2016年10月28日 新聞掲載(第3162号)
このエントリーをはてなブックマークに追加