田原総一朗の取材ノート「かくれトランプ支持者」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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田原総一朗の取材ノート
2016年11月18日

かくれトランプ支持者

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何を置いても仰天劇は、アメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選したことである。

トランプ候補が、共和党の大統領予備選挙に出馬したときには、いずれ姿を消す泡沫候補だと思われていた。それが共和党の大統領候補となり、ついに本命視されていたヒラリー・クリントンを破ってしまったのである。

それにしても、日本のマスメディアはいうにおよばず、アメリカのマスメディアも、ほとんどトランプに批判的で、クリントンが勝つものと捉えていたようだった。

一回、二回、三回の両候補のテレビ討論もいずれもクリントンが、しかも大きく差をつけて勝った、と評しており、世論調査でもクリントンが優勢であった。それに、トランプはメキシコやイスラムの民族に対する差別発言や女性蔑視発言などをくり返し、その度にアメリカのマスメディアは激しくトランプを批判した。

それにもかかわらず、なぜトランプは当選したのか。
アメリカは金融にしても貿易にしても世界市場で展開していて、グローバリズムの主軸のような存在だが、グローバリズムによって豊かな生活を送っているのは、一部のエスタブリッシュメントであった。多くのアメリカ人たちはひどい格差で苦しい生活を強いられていて、そういうアメリカ人たちがトランプに票を投じたのである。そして彼らは、エスタブリッシュメントに強い反感を抱いていて、だからエスタブリッシュメントの一員であるクリントンは嫌われたわけだ。

だが、ひどい格差に苦しんでいるアメリカ人たちを、マスメディアはなぜキャッチできなかったのか。実は彼ら、彼女らの多くはトランプ支持を表明しない、いわゆるかくれトランプ支持者だったのである。だから、マスメディアはこうしたアメリカ人たちの存在をキャッチできなかったのだ。

それではトランプ支持者の多くが、なぜかくれ支持だったのか。それは、彼ら、彼女らもトランプの人種差別発言や女性蔑視発言をよしとはしていなくて、だから支持表明はできなかったのだが、トランプが苦しい生活を変えてくれることを期待した、ということのようだ。
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2016年11月18日 新聞掲載(第3165号)
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