【横尾 忠則】滝のインスタレーションと健さん。水泳メドレー 競技的・戯作錬金術絵画|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
2016年11月25日

滝のインスタレーションと健さん。水泳メドレー 競技的・戯作錬金術絵画

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国井雅比古さんと風吹ジュンさん。NHKスタジオで(撮影・徳永明美)
2016.11.14
 朝の日課は朝刊を玄関のポストに取りに行って、夜食を食べた野良猫(黒ツボ、ドッテンパーコ、まだ名のない茶猫)に朝食を準備する。寒い日は朝刊の役目は妻。

「団塊スタイル」のスタジオ収録にNHKへ。国井雅比古さん、風吹ジュンさんの突っ込みを逃げながらかわす。風吹さんは東宝スタジオの「家族はつらいよ2」の撮影現場でチラッと会っただけ。まさか番組に呼ばれるとは思っていなかった。山田監督に叱られた話を聞くが、「山田さんは才能のない人には叱りませんよ」と彼女をフォローする。
2016.11.15
 郷里の西脇の町を一望するビルから南北二ヶ所にある高い塔が激しく炎上している。どうもテロの襲撃を受けたらしい。

神戸の次回展「ようこそ!横尾温泉郷」のカタログのデザインができたと矢萩さんが持ってきてくれるが、大挙7人も現われる。どういう関係の人達だろう? 話をするのはせいぜい2人ぐらい。

玉川病院の先生に急用ができたために30分で用を済まして、皮膚科の岩渕先生を訪ねる。一年以上も前から炎症を起こしている足の皮膚の治療に。以前の薬が合わないらしく、新しい薬に変更。診断のあと今年初めの入院以来、中嶋院長と久し振りに、小一時間ほど談笑するが、先生の言葉は難聴向きではないので徳永の通訳が必要。その彼女の通訳さえも理解できないので帰ってから、文章化してもらう。まあ、難儀なことですわ。
2016.11.16
 「やくしん」誌で『死なないつもり』の取材。書いてあることをもう一度しゃべることになる。だったら書評にしてくれればいいのに。

夕方、東京ステーションギャラリーの明後日オープニングの高倉健展のぼくが担当した映像と滝のインスタレーションのチェックに。仁侠映画予告篇6本をキュービックな天井と壁に投影するが、その光がお互いの映像に反映し合って画面が薄くなってしまうのが難点。ここまでは計算していなかったが、他に方法はない。滝のポストカードのインスタレーションは成功しているが、7、8千枚近い滝のポストカードの間に健さんの写真を埋葬しているが何人の人が気づくかな?
2016.11.17
 郷里の蓬莱座の前の壁に三船敏郎、吉永小百合、宮沢りえら5、6人のスターのポートレイトがレイアウトされたモダニズムデザインのポスターに感心するが、目覚めたあとは全くどーってことのないデザインだとわかる。

時事通信社と北海道新聞の『死なないつもり』の取材。前者には上手く答えられなかったが後者には先ず先ず。この間からこの本の取材ばかりが集中しているけれど、なんでかな?

岡部版画工房の牧島さん来訪。来春の全版画展にシルクスクリーンの新作を作ろうと思って、その打合せを。版画は上海の画廊から依頼されて以来だから四年振り? どんな作品を作るのだろう。アイデアがあり過ぎて、絞れず困っている。あれもしたい、これもしたい、まるで子供だ。
今制作中の絵も複数のアイデアが次々集中して、何から手をつければいいのやら、変な癖に困っている。

夕刻、妻が帰宅の途上、空に奇妙な点滅する動いたり静止する光体を一時間近く眺めていたが「一体あれは何なの?」とぼくに聞かれても見てないので、「未確認飛行物体じゃないの?」としかいいようがない。
2016.11.18
 タマと口ゲンカしている夢を見る。
午前中オイルマッサージ。7年間もやってくれていた石井さんが年末いっぱいで退職するという。この間、来年一年間のスケジュールを出してくれたばっかりなのに、何があったのだろう? いちいち聞くのも失礼だし。

午後、山田さん、スタッフ、妻らと東京ステーションギャラリーの「追悼特別展・高倉健」内覧会に出席。映画関係者、美術関係者と時間差で招待している。全150作が時間縮小で鑑賞できるが、美術展というより、健さんファンのためのアトラクションって感じ。
2016.11.19
 世田谷美術館の「コレクションの5つの物語」/「ぜんぶ1986年」展のオープニングレセプションに行く。両方の展覧会に出品しているが、久し振りに過去の作品と対面。その時と場所に引き戻される感覚はバイロケーション(同時に2ヶ所に存在)体験である。
2016.11.20
 足の皮膚の炎症だいぶ快復。
複数のアイデアで動きがとれなくなっていたが、水泳のメドレーみたいに何枚も複数の作品を次々、描けばいいのだと決めると急に悩みは解消した。

新作は天国と地獄との混ざったカオス的ニヒリズム作品で、これって「神曲」ではないか? 未来からやってくる霊感を確認する。そして、どうやら戯作絵画を作ろうとしているようだ。戯作の錬金術とでも名付けよう。(よこお・ただのり氏=美術家)

2016年11月25日 新聞掲載(第3166号)
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