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漢字点心
2016年12月2日

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今年ももう師走。宴会シーズンの到来である。

「宴」の読み方を尋ねられたら、たいていの人は「うたげ」と答えるに違いない。「○○の宴」という飲み屋さんも、いっぱいある。この漢字の訓読みとして、「うたげ」は完全に定着しているといってよい。

しかし、漢和辞典を見る限り、それは戦後になってからの現象だ。明治や大正の漢和辞典では、「宴」にこの訓を付けていないものが多い。むしろ、「さかもり」を訓とする方が、スタンダードなのだ。

「酒盛り」と漢字を使って書くまでもなく、「さかもり」は、ことばの響きの上で、酒を具体的にイメージさせる。一方、「うたげ」は、「打ち上げ」が変化したことばだと言われていて、響きの上から酒を直接的にはイメージさせない。「宴」の訓読みとして定着したのは、その上品さゆえだろうか。もっとも、現実の「宴」は、けっして上品なものばかりではないけれど……。
2016年12月2日 新聞掲載(第3167号)
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