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誰も見ていないから 第24回
2016年12月2日

誰もみていないから ㉔

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Afterimage〉(鉛筆、越前和紙/2012年)ⒸShinjiIhara

「あなたは幸せですか?」

馴染みの散髪屋。その日は新しく入った男性スタッフが対応してくれることになった。何かにむしゃくしゃしている様子で、会話もないどころか店を出る最後まで笑顔ひとつ見せず、その態度に私はとても不愉快になってしまった。彼はこの仕事を好きでやっているのではないのかと疑念を抱かざるを得なかった。 

その時、今年初来日していたウルグアイ元大統領のムヒカ氏が日本人に向けて問いかけた言葉を思い出した。誰のために働き、何のために生きているのか、それは人によって違う。でも、仕事にやりがいを見つけられないまま続けることは、限られた人生の中の大切な時間を無駄に消費しているということに私たちはもっと気づかなければならない。
「好きなだけでは画家にはなれない。」と高校時代に先生から言われた時から、それを頭の中でずっと否定してきた。好きなことを続けるには、覚悟と稼ぎがなければできない。でもそれ以前に、好きである気持ちを忘れてはならないと思う。

やりたくなければやめればいい。こういう考え方は「ゆとり」だと呆れられるかもしれない。でも、仕事は生きるためだけではなく、幸せに生きるためのものでありたい。
2016年12月2日 新聞掲載(第3167号)
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