誰もみていないから (最終回)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
読書人よ、集まれ!

トップページ

特集

書評

連載

コラム

ニュース

読書人とは

誰も見ていないから 第26回
2016年12月16日

誰もみていないから (最終回)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Afterimage〉(鉛筆、越前和紙/2012年)ⒸShinjiIhara
「ランデブー」

背後にあなたがいても、まだ後ろを振り向くことはできない。暗い空に光を見たとき、あなたを描きたいと思う。まだ見えぬ世界に足を踏み入れるために絵を描くのだろう。孤独からは逃れられない。だから、人は出会い、繋がり合う。

街を一人で歩いている時も、気がつけば誰かの跡をつけている。それだけ人に興味があって、出会いの奇跡を諦められない。話し掛ける勇気はないけれど、あとで後悔するぐらいなら何か行動を起こしたい。

誰かに振り向いてほしいときはわざと何か落とせばいいのよ、そうしたらみんな振り向いてくれるから。友人から最近教わったこの方法を使えば、もっと沢山の人と出会えるかもしれない。

私は絵を描くことでしか自分自身を見出せない。絵を描くことからしか新しい出会いは生まれない。絵を描くから世界が広がる。だからやめられない。

文章を書くことは表現手段が違うけれど、ここで読者の方との新しい出会いを信じ求めていた想いは、カンバスに向かう私と一緒だったのかもしれない。

またどこかでランデブーを楽しめることを願っている。
2016年12月16日 新聞掲載(第3169号)
このエントリーをはてなブックマークに追加
井原 信次 氏の関連記事
誰も見ていないからのその他の記事
誰も見ていないからをもっと見る >