【横尾 忠則】激動の2017年は世界と同調。如何に巻き込まれず傍観して通過するか<|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側 第269回
2016年12月9日

激動の2017年は世界と同調。如何に巻き込まれず傍観して通過するか<

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李禹煥さんのアトリエにて(撮影・鷹野晃)
2016.11.28
 鎌倉の李禹煥さんを訪ねる。お寺と樹木が点在する家並から線香の匂いに寂滅境地、そんなアトリエで李さんの芸術論に難聴の耳を傾ける。画家の身体性、レンブラントの普遍性など二人の共通の話題に時が流れる。李さんとは同じ年だが美術では先輩。常に躰を動かすことが創造と健康の源流らしいが、その作風は無為の精神の高みから発しているように思われる。肉体時間と芸術時間の相克についての対話集(SBクリエイティブ出版)。

2016.11.29
 MIYABIの世界発売のCDジャケットの依頼。試聴した二曲はプログレッシブ風ノスタルジーで思わずロックの古里にタイムスリップ。

どこからともなく集結したチョコはアメリカ、ロシア、スイス、ベルギー、フランス産。来客(松竹、凸版印刷)に無理矢理強制。義理チョコに苦楽の表情を愉しむ。

2016.11.30
 サンパウロのポスター展、イタリアのファッション・イベントのプロジェクト、全版画展、新作版画の制作と、激動の2017年は世界と同調してわが身にまで及びかねない。如何に巻き込まれないで傍観しながら通過していくかが試される。

中国で発刊している「知日」誌がまる一冊YOKOO特集を計画。日本カルチャー専門誌で「猫」「妖怪」「鉄道」「山口組」、近刊ではCCC代表増田宗昭特集ですでに39刷、10万部を超える発行部数。猫とか妖怪とか山口組とか、悪鬼夜行的の仲間入りとは名誉なり。

ヘルマン・ヘッセの訳者でドイツ文学者の岡田朝雄氏よりヘッセの書評、紹介などのお礼状と氏翻訳の『シッダールタ』を頂く。氏とは面識はないが氏の訳本8冊、エッセイ集1冊は愛読書で、まるで「ヘッセからの手紙」のような感動を覚える。「ヘッセはドイツでも日本でも専門家の間では評判がよくない」そうだが、専門家は間口が狭いんですかね。
BS日テレ「久米書店」にて久米宏さん、壇蜜さんと(撮影・徳永明美)
2016.12.1
 京マチ子の体内に男性器が埋められていて、彼女の意志と無関係に彼女の性器としばしば交流し合っているという超セクシュアルなイメージが湧き、その情景を卓球台の表面に投影して、それを絵にするという実に際疾い猥褻と非難されそーな妄想夢を見る。

神津善行さんと虎の門病院へ。採血、採尿の結果、数値が以前より高く、塩分、糖分、カロリー抑えの要注意。一日500ミリリットル以上の水分補給程度でOK。

神津さんと牡蠣蕎麦を食って日本テレビの「久米書店」の収録に。久米宏さんとは面識がないと思っていたら、「いいえ、資生堂「おしゃれ」で来ていただきました」が記憶がない。毎日大勢のゲストを迎えながら、よく覚えてらっしゃる。とにかく記憶力が凄く、ぼくの忘れているような事柄がシャキシャキした会話の中にポンポンとスピーディに出るその頭の回転の鮮やかさにわがペースは乱れっぱなし。アシスタントの壇蜜さんはフワーッとした涼しい気体のような人。「久米書店」では近刊『死なないつもり』をとり上げていただく。朗読させられるのだが、ニガ手なので本の帯に抜粋された文を読んで省エネ朗読でゴマカス。

2016.12.2
 夜、NHKEテレの「団塊スタイル」の放映があったので観ることは見たが、やっぱり自己嫌悪に堕ちるもんだ。じゃ出なきゃいいじゃん、と言われそーだが、その時は非日常的体験の挑戦に意味があるので出演と放映は自分の中では分離されているのだ。放映が終ると同時に瀬戸内さんから「見たわよ、若く映っていたので、そのことを言おうと思って、じゃまたネ」

2016.12.3
 三日前の、やゝ下痢気味でシンドイ感じがまだ少し尾を引いているけれど下痢は治っているが風邪かな? 風邪なら猫みたいにジッとしていれば治るし、下痢が続くならOS―1でOK。

2016.12.4
 家の外観のペインティングそろそろ完成だが、そのプロセスが愉しいので、チョコチョコ修正する。最初はバチカン風になるかなと思っていたが、その内、神社風に変り、完成作は龍宮城かな。わが家一軒だけがファンタジーじゃ寂しいので隣近所もカラーフルにしたいが誰も望んでいない。実は郷里の西脇市の町興し計画として全市の建造物のペインティング戦略を写真によるシミュレーションで市長に提案したところ「凄いですね、面白いですね」の感想だけで実行意志は見えないが、ある名家が、「ぜひわが家を!」と名乗りを上げてくれている。総天然色都市宣言をすれば世界中から観光客が押し寄せる。その第一歩に先ずわが家からと実践してみたが、大好評。でも誰もマネはしたがらないというのが現状なんですよネ。

2016年12月9日 新聞掲載(第3168号)
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