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ともかくスケッチ 第53回
2016年12月9日

表参道の本屋さん

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1960年代初頭のボクは渋谷にある桑沢デザイン研究所という専門学校に通っていた。グラフィックデザインという名前がまだなく、図案家と呼ばれていた人達が商業デザイナーと変身していたころである。大阪から出てきた18歳のボクは東京のあらゆることにカルチャーショックを受けていた。


そのひとつが青山通りと表参道が交差するところにある大きな絵看板があるビルの存在であった。ビル全体が絵で覆われている図は大阪の高校生には想像もつかないものである。看板の概念を吹っ飛ばすものだった。兎に角ビックリしたことを今でも鮮明に憶えている。学校から桑沢の田中一光先生の事務所まで歩いていく途中、中間地点にその絵が燦然と輝いていた。ひとしきり歩いてきたので絵を眺めながら一服するのだ。


縁あって60年前に知ったあの谷内六郎さんの看板のある本屋さんに通っている。安西水丸さんが若い人たちと交流を深め、新人たちの才能が上手く開くようにサポートをしていた塾を彼が亡くなった後、引き続いてボクがバトンタッチを受けたという訳だ。山陽堂さんからお電話を頂き「『S・I・S』(山陽堂・イラストレーターズ・スタジオ)の火を絶やしたくない。是非、先生にご尽力いただけないか」という主旨のものであった。安西水丸とは旧知の仲、彼の考え、一途な志は少なからず分かっているつもりだ。「はい」と二つ返事で引き受けた。遠山社長が安西水丸以上の真面目な方でイラストレーターの若い人達に対する想いが半端じゃない。常に「ああしよう」、「こうしよう」と呻吟されている。「ナガトモさん、イラストレーション美術館を作りましょう」と今日も発破を掛けられた。
2016年12月9日 新聞掲載(第3168号)
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