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2016年12月16日

evam evaデザイナー・近藤尚子さん (下)

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品の位置を少しだけ手直しする近藤尚子さん
十年前に作った青山店が、evam eva(エヴァムエヴァ)の第一号店。そのあと立川、吉祥寺、自由が丘と続き、今では全国十四店舗に及ぶ。一二〇名を数えるそのほとんどが社員で、圧倒的に女性が多い。感心するのは、ショップスタッフ一人一人の対応がとても丁寧で、バタバタとしたところがまったくないこと。
「本当に人に恵まれていると思います。みんなevam evaがとても好きで。私はただ、細かいことをちゃんとしようねと、声をかけるようにしています」。人も増え、これからはお母さんの働きやすい環境づくりも、尚子さんの大切な仕事になるだろうという。

高校一年生と、中学一年生の二人の男の子の母親でもある尚子さん。「だから、穏やかでなんかいられないんです。ずっと仕事をしてきたので、母親として子供たちにちゃんとしてあげられなかったんじゃないかと、葛藤もありました。自分は実家の両親の協力のもと、ここまでやってこられましたが。店舗で働くのは全員女性。スタッフが安心して働けるように、環境を少しずつでも整えていかなければ」

自然の色みと風合いが目にも肌にも優しいニットが並ぶ

来年三月、山梨県にある本社近くに、直営のショップ、ギャラリー、そして和を基調としたレストランをオープンする予定だという。山梨を拠点として、企画から製品化まですべてここに集中させることにこだわってきた。来春からそれが一層強固なものとなる。構想から足掛け五年、東京から山梨に戻るたびに、建物が少しずつ出来上がるのを目にし、事の大きさにたじろいでしまうことも。

「この場所は、二年かけてようやく見つけました。外の環境の影響を受けないところにしたかったんです。レストランもただ美味しいというのではなく、ブランドのイメージを生かしたメニューにしたいと思っています。今までは衣の部分が突出していましたが、これからは衣食住をトータルで提案できる。飲食は初めての経験なので、考えだしたら止まらなくなって。メニューも器も、箸も、次から次といろいろなアイデアが頭をよぎっていきます」 すべてをプロデュースする仕事は、この上なく楽しいに違いない。

「最近仕事の目的って何だろうと考えていました」と尚子さん。「働く人達は、evam evaに関わったことで幸せを感じる。お客さまはevam evaの商品を買ってくださったことで幸せになれる。その幸せをつくっていくには、裏ですごい努力が必要だし、お金が回る仕組みも必要だと感じています。いろいろな方との関わりが今のevam evaを作ったと思っています。ただこれからはより多くの人とつながるよりも、これまでのつながりをもっと大切にしたい。たとえば一番身近な家族とか。そこに自分の力を残しておかないと、バランスが崩れてしまいそう」

二〇〇一年のブランド立ち上げから今まで、変わらずに来たのは、自分が着たいと思った服をデザイン、制作し続けたこと。それ以外は毎年毎年、店舗を増やしたり、こうして次のステージの準備をしたり。変化があり、飽きることなく、常に何か新しいものを得ながら進んでこられたことが、やりがいにもつながっていった。

来春三月の、山梨県で初めての直営店、ギャラリー、レストランを同時にオープンさせる時まで、もうあとほんのわずか! どんな建物が、どんな空間が、そしてどんな料理を目にすることができるのか、待ち遠しくてたまらない。
2016年12月16日 新聞掲載(第3169号)
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