田原総一朗の取材ノート「朴大統領の不可解な行動」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
哲学からサブカルまで。専門家による質の高い書評が読める!
~毎週金曜日更新~

▲トップへ

  1. 読書人トップ
  2. コラム
  3. 田原総一朗の取材ノート
  4. 田原総一朗の取材ノート「朴大統領の不可解な行動」・・・
田原総一朗の取材ノート
2016年12月16日

朴大統領の不可解な行動

このエントリーをはてなブックマークに追加
韓国の朴槿恵大統領に対して、一二月九日に韓国国会は、野党が提出した弾劾訴追案を可決した。これで朴大統領の職務権限が停止されたわけだ。

それにしても、この事件については、私にはわからないことだらけである。
まず、女性実業家とされる崔順実との関係である。ここまで一人の女性にズブズブ頼りっきりになるとは、どういうことなのか。

朴槿恵氏は、韓国の大統領で「漢江の奇跡」と称される韓国の繁栄を実現させた朴正煕の娘である。朴正煕は現在でも韓国の大統領では最も人気が高く、朴槿恵氏が大統領になれたのは、父親の七光りだといわれている。

ところで、一九七四年に、彼女の母親である陸英修が凶弾で亡くなった。朴槿恵氏はフランス留学中だったが、帰国して強い衝撃を受けた。そんな彼女に、崔順実の父親であった崔太敏が巧みに近づく。彼はうらないのようなことをする宗教家で、「あなたのお母さんが夢にあらわれて、あなたを助けてほしいといった」といい、朴槿恵氏は、すっかり彼を頼りにするようになった。

そして七九年に、今度は父親の朴正煕大統領が暗殺された。そこで、朴槿恵氏は、いよいよ崔太敏を頼りにするようになった。

そして崔太敏が亡くなると、娘の崔順実がとってかわるようになったのだという。
一九九八年に、朴槿恵氏が国会議員に立候補したときにも、崔順実が全面的に面倒を見たのであろう。
朴槿恵氏大統領になってからも、あらゆる機密文書を崔順実に見せていたことが、いま大きな問題になっている。大統領としての演説の原稿も崔順実が書いていたようだ。

これは大統領としての公私混同だが、どうにもわからないのは、なぜ崔順実のために二つの財団をつくり、彼女に違法な資金が大量に流れる仕掛けをつくってしまったのか、ということだ。これはあきらかに犯罪行為で、検察は朴槿恵氏を共謀だと決めつけている。

もう一つ、韓国国民は朴槿恵氏に怒りを爆発させ、ソウルだけで百万人デモを何度もくり返しているが、韓国国民は朴槿恵氏の、何をそれほど怒っているのか。怒りをぶつけるには、朴槿恵氏は頼りなさすぎるように思えるのだが。
2016年12月16日 新聞掲載(第3169号)
このエントリーをはてなブックマークに追加