第7回 山田風太郎賞  第36回 横溝正史ミステリ大賞  第23回 日本ホラー小説大賞|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
哲学からサブカルまで。専門家による質の高い書評が読める!

▲トップへ

  1. 読書人トップ
  2. ニュース
  3. 受賞
  4. 第7回 山田風太郎賞  第36回 横溝正史ミステリ大賞  第23回 日本ホラー小説大賞・・・
受賞
2016年12月16日

第7回 山田風太郎賞 
第36回 横溝正史ミステリ大賞 
第23回 日本ホラー小説大賞

このエントリーをはてなブックマークに追加
罪の声(塩田 武士)講談社
罪の声
塩田 武士
講談社
  • この本をウェブ書店で買う
KADOKAWA三賞贈賞式が、11月25日、東京・千代田区の帝国ホテル東京で行われた。第7回山田風太郎賞は塩田武士『罪の声』、第36回横溝正史ミステリ大賞は逸木裕『虹を待つ彼女』(木逸裕改名、「虹になるのを待て」改題)、第23回日本ホラー小説大賞は、大賞は受賞作なし、優秀賞が坊木椎哉『きみといたい、朽ち果てるまで ~絶望の街イタギリにて』(「黄昏色の炎と213号室の雫」改題)、読者賞が最東対地『夜葬』(「【夜葬】」改題)に決まった。
* 山田風太郎賞については、選考委員を代表し夢枕獏氏が報告した。「この作品は、〈グリコ・森永事件〉がベースとなっていますが、僕の感覚からいうと、現代に近ければ近いほど資料の量が増えてくる。特にこの事件は多くの人がそれぞれに様々な考え方を持っていて、関係者の方も存命、もしかしたら犯人も生きている。という状況の中で、これを書く、と思ったことをまず称賛したい」。


虹を待つ彼女(逸木 裕)KADOKAWA
虹を待つ彼女
逸木 裕
KADOKAWA
  • この本をウェブ書店で買う
横溝正史ミステリ大賞は、有栖川有栖氏が選考経過を述べた。「最初の段階で逸木さんの作品が、断然トップの評価でした。完成度においてもアイデアの斬新さにおいても、面白さにおいても、他の候補作から頭一つ二つ抜けていた。ミステリとしての手順をきっちりと踏みながら、一般の小説が持つ偶然的な面白さがうまく溶け合っている作品です。この出版状況で船出しても遠くへ航海していける力があると思っています」。
右から、逸木裕氏、塩田武士氏、最東対地氏、坊木椎哉氏の担当編集者


日本ホラー小説大賞は、綾辻行人氏が選考経過を話した。「読者賞は、選考委員が口をそろえて、これは怖い、と盛り上がった作品でした。都市伝説に関するコンビニ本から始まる、死の連鎖系呪いホラーです。見事なアイデアに感心しましたが、小説の形が荒っぽかった。非常にホラーが好きな方だとお見受けしますので、この機会を逃さずに書いていってください。


そして優秀賞作品、イタギリという架空の無法地帯では、死なずに腐っていく「シナズ」という特有の現象が起こります。非常に猥雑で、陰惨、腐臭が漂ってくるような筆致で、街が丹念に描かれていきます。そして実は純愛小説でもある。エンディング、僕は参ったというぐらい泣いてしまいました。ところが貴志祐介さんは、既視感や、リアリティの基準を持ってきて、理論的に反論されました。選考経過は書籍に載っています。


夜葬(最東 対地)KADOKAWA
夜葬
最東 対地
KADOKAWA
  • この本をウェブ書店で買う
戦時下、読ませたくない書かせたくないという体制がある中でも、乱歩さんも横溝さんも、書きたいという思いで続けてこられた。我々はそういった志を継いで、どんな状況でも面白いものを書きつづけていきましょう」。


坊木氏は覆面作家のため、担当編集者が代わって賞の授与と、受賞の言葉の代読を行った。坊木氏の作品は、集英社からも『この世で最後のデートをきみと』が同時に刊行されている。その後、場を移して祝賀会が行われ、華やかで和やかな夜となった。

2016年12月16日 新聞掲載(第3169号)
このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事の中でご紹介した本