田原総一朗の取材ノート「「力による平和」の世界に?」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年1月6日

「力による平和」の世界に?

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一二月二一日、新たに大統領となるトランプは、対中強硬派の最右翼といわれているピーター・ナヴァロを、新設した国家通商会議代表(NTC)の議長に指名した。ナヴァロはカリフォルニア大学アーバイン校の教授だが、二〇一二年に「デス・バイ・チャイナ」(中国による死)というドキュメンタリーを発表した。中国からの輸出によって、アメリカの経済は死に到る、というのである。ナヴァロについては、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンも「全て見当はずれ」だと酷評しているが、トランプはその過激さが気に入ったようだ。

そして二二日、トランプは「米国は核戦力を大幅に強化・拡充しなければならない」とツイッターに投稿した。これは、ロシアのプーチン大統領が同日、「戦略核戦略の軍事能力を強化する必要がある」と発言したことへの対抗とみられている。

トランプは二三日に、米MSNBCテレビのインタビューでツイートの真意を尋ねられ、「軍拡競争をしよう。我々はやつらに勝利し、やつらより長く続ける」と述べている。

それに対してプーチンは二三日のモスクワでの記者会見で、「米軍が世界最強であることを争う気はない」と、軍拡競争を否定している。

中国に対しても、ロシアに対しても、トランプが強硬なのである。
オバマ大統領は、軍縮と法による世界平和を提唱していたが、トランプは「力による平和」を主張している。

トランプの米国だけではない。英国は国民投票でEUから離脱して、キャメロン首相は辞任した。そしてフランスでもオランド大統領は大統領選に不出馬を表明せざるを得ず、最右翼であるルペンと、やはり右派のフィヨンの戦いになるとみられている。オランダでも右翼が勢力を拡大し、ドイツのメルケル首相も苦戦を強いられそうである。

民主主義とは、自分と異なる意見を認め、少数意見を尊重することだが、米国でもヨーロッパ各国でも、そのゆとりがなく、力による荒っぽい時代になりそうだ。

2017年1月6日 新聞掲載(第3171号)
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