ゲイの可視化を読む 現代文学に描かれる 〈性の多様性〉? / 黒岩 裕市(晃洋書房)黒岩 裕市著 ゲイの可視化を読む 現代文学に描かれる 〈性の多様性〉?|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2016年11月18日

黒岩 裕市著 ゲイの可視化を読む 現代文学に描かれる 〈性の多様性〉?

ゲイの可視化を読む 現代文学に描かれる 〈性の多様性〉?
出版社:晃洋書房
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渋谷区のいわゆる「同性パートナーシップ条例」(正式には「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」)を皮切りに、世田谷区やその他のいくつかの自治体においてのセクシャルマイノリティをはじめとする少数者に対応しようとする一連の動きに見られるように、「多様性」に対応しようとする公的な動きも少しずつ見えてくるようになってきた。そのような中で、現代文学においてセクシャルマイノリティはどのように描かれているのか。本書では村上春樹の短編「偶然の旅人」、川上弘美の〈杏子と修三シリーズ〉、よしもとばななの『王国』シリーズにおけるゲイ表象に焦点を当てている。


ここで俎上に上げられる作品では、主要な人物としてゲイを登場させるが、否定的にも滑稽な存在としても描いておらず、その限りにおいては性の多様性を肯定しているようだが、詳細に見ていくとそこにはいくつもの枠がはめられていることに気付かされると著者は見る。それはたとえば経済的に問題がないクリエイティブでネオリベラリズムと親和性が高い人物であること、女性に対して癒やしの存在であること、そしてなによりも従来の異性愛規範に基づく「家族」のあり方に対して脅かすことも問い直すことをせず、むしろそれを補完することによって可視化とは逆に現実の様々な問題を見えにくくする方向にあるのだという。

この記事の中でご紹介した本
ゲイの可視化を読む 現代文学に描かれる 〈性の多様性〉?/晃洋書房
ゲイの可視化を読む 現代文学に描かれる 〈性の多様性〉?
著 者:黒岩 裕市
出版社:晃洋書房
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2016年11月18日 新聞掲載(第3165号)
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