【横尾 忠則】神様の初夢アンコール! 夢は一体誰が作るのか?|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの向こう側
2017年1月13日

神様の初夢アンコール! 夢は一体誰が作るのか?

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2016.12.26
 覚醒と同時に絵のアイデアが啓示か何かのように全身を走り抜けた。「これはイケル」と思ったが「信じるか信じないかはあなた次第!」。

「天然生活」で『死なないつもり』の取材。『死なないつもり』とは天然生活の実践なり。

2016.12.27
 年内に年賀状を書くのは今年初めて。これも生活の一部。

造園師に庭の整備をしてもらう。禅寺では環境を整えることは心の浄化になると教えられた。

2016.12.28
 6時起床。鼻水が止まらない。床の中で『デヴィッド・ボウイインタヴューズ』を読む。スーパースターであろうとすることは死との契約でもある。

「週刊NY生活」の不定期連載のエッセイを書いてNYに送信。

昨日の続きの絵を描く。見慣れない絵になる。その昔、画家の元永定正さんが、「お前精神分裂症ちゃうか? スタイルがバラバラや」と言った。そうか、固定したスタイルがないのは病気ってことか?

ジーンズメイトで手袋を買う。660円也。

2016.12.29
 電車に乗っていたら急に横揺れが激しくなった。「地震だ!」と叫ぶ声。本当に危険だったら電車は止るはずだ。しばらく揺れていよう。夢でも身体感覚が体験できるんだ。

正月休みに入った途端、人が消え、街から音も消えた。音のない世界そのものが難聴の世界だ。

描きたいように描いていると誰の絵かわからない絵になっていく。そのうち自分も消えるといい。

2016.12.30
 自転車で来れる距離に住む依田さんがアトリエへ。来年もまた「朝日」の書評を、と頼まれる。あと一年、あと一年と言われて七年になる。

2016.12.31
 あれから一年、去年の大晦日、家の中ですべって、ころんで足を骨折。正月休みで入院もできず、暗黒の大晦日と正月だったのを思い出して、今年はニンマリ。

毎年年末はセゾン現代美術館の難波さんと一年を総括。

2017.1.1
 元旦早々訃報。正月明けに取材で会う予定の石坂敬一さんが大晦日に死去。石坂さんの東芝EMI時代にビートルズのポスターを描いた。石坂さんに一体何が起ったのだろう。

今朝の朝日の鷲田さんは「折々のことば」で「今年こそ耳の人になろう」と。ぼくも一年四ヶ月ズーッと耳の人として傾けても傾けても不自由してまんねん。

元旦だからと特別の日ではない、いつものように自転車でアトリエに行く。去年の元旦は骨折に餅は禁物とお雑煮も食べられず、重いギブスを付けて、便所に行くのが地獄だった。

2017.1.2
 箱根駅伝は今年も青山学院大学が独走。去年のDVDを見ているみたいで面白くないのでアトリエへ。人も電話も音もなく現実が難聴世界。

正月明けに掲載予定の朝日の書評『デヴィッド・ボウイ インタヴューズ』を書く。

2017.1.3
 二日の夜に見た夢を初夢だという。だったら神様の夢が見たいと念じて眠る。その初夢は「十字架」だった。ぼくの想像していた神様は日本の神様だったけれど、まさか西洋の神様とは!? クリスチャンの長女と間違ってぼくのところにキリスト様が来られたのかな。「昼間の世界は架空の夢のよう、夜の夢こそ現実」とポーが言ったと乱歩が言った。

2017.1.4
 西洋の神様もいいけれど日本の神様の夢も、と厚かましく二日連続の初夢をリクエストして眠ったら、武田鉄矢と「海援隊」を主役にした映画を撮影するぼく。そのラストで宝船がミュージカル風に出航するシーンを演出する。七福神こそ乗っていなかったけれど、まあ日本の神様の乗る宝船だ。先はメデタシ目出度し。

去年の今日は入院騒動で二ヶ月半の新生活のスタートの記念日。今年は天国。

gggの北沢さんも歩いてくる距離のご近所さんなので野川のビジターセンターのテラスで会う。陽が落ちてからはアトリエに移動。

2017.1.5
 留守電を聞いたと平野啓一郎さんの電話。質問好きの平野さんとは相変らずの長電話。

台湾の出版社から『死なないつもり』の出版オファーあり。台湾の別の出版社からはすでに自伝も出てるのよね。

アトリエの鏡の中の滝沢さんと(撮影・滝沢直己)
2017.1.6
 天皇、皇后の専属デザイナーの滝沢直己さんが蔦屋で健康食品を見つくろって福袋にして持ってきてくれる。彼の都市伝説オタクと皇室は関係あるのかな。
夕方、新作にとりかかる。

2017.1.7
 「夜の夢こそ現実」と言うポーの教えで夢から発想した絵を描く。

2017.1.8
 夢は一体誰が作るのかについて山田さんと話す。山田さんは黒澤明さんが見たビルとビルの間に架けた一本の綱の上を歩いている時、足を踏みはずして落下。その時天使がやってきて黒澤少年を救った。これと同じ夢を小学一年生の時、山田さんも見たが天使ではなく女だった。と父に話すと「女か!?」と父に言われたその言葉が強烈な印象になっているようだ。
2017年1月13日 新聞掲載(第3172号)
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