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2017年1月13日

ゴールデン街の灯り

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面白い若者に出会った。田中開くんという。この歳になるとなかなか歳の離れた若者と対面する機会がないのだが、ご縁というものだ、ゴールデン街に久し振りに「面白いお店が出来たので行きませんか」と誘われた。彼がオーナーであった。

ゴールデン街といえば、毎夜毎夜朝方まで宴を繰り返していた我が青春の街だ。思いつくまま列記すれば武蔵美の在学中だった村上龍がいた。赤塚不二夫と九州から出て来たばかりのタモリがいた。黒田と岡林信康が知り合い、美空ひばりさんと繋がるのだからこの時代のゴールデン街は面白い。お嬢の生歌を聞けた懐かしい時代だ。隣りの店には原田芳雄に松田優作、桃井かおりが何やら黒木和雄監督と企画を練っていた。都はるみと中上健次は意外な組み合わせだがこのテーブルからはオーラが漂っていた。長谷川和彦、根岸吉太郎、高橋伴明等の気鋭の映画監督が集まる店ともボクたちはバッティングをしていた。黒鉄ヒロシ、はらたいら、上村一夫達漫画の新人も多くいた。倉俣史朗と田中信太郎、日暮真三……後々「サイレンサー」というデザイン集団を結成するアーティスト仲間がいた。もの凄い人達とK2の仲間が出来た。数えだしたらきりがない多くの人達と出会った街だ。

最後に「まえだ」という素晴らしいママ(おっかさん)がいるお店を紹介する。野坂昭如さん、長部日出雄、吉岡治(作詞家)、井上ひさし、唐十郎(演劇)、寺山修司(詩人)……殿山泰司、田中小実昌……この「まえだ」の存在はゴールデン街にとって外すことは出来ない。K2の仲間を列記するのに終始したが、その田中小実昌さんのお孫さんが田中開くんである。ご縁ですねぇ、ゴールデン街の灯りは燃え続けているのである。
2017年1月13日 新聞掲載(第3172号)
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