経営コンサルタント・小宮一慶さん(下)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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あの人に会いたい
2017年1月27日

経営コンサルタント・小宮一慶さん(下)

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セミナーで講義中の小宮一慶さん
今や押しも押されぬ独特の立ち位置で、“経営コンサルタント”として注目を集めている小宮一慶さん。独立するまでには「多くの人のご縁をいただきながら、今の自分があります」と振り返る。 

東京銀行からアメリカ留学を言い渡され、そこで学んだことは、徹底した個人主義だった。 

過去のこと、今までやってきたことはどうでもいい。今何をしたいのか? 「あなたはどんな人なのか」それをいつもいつも突きつけられる時間。このアメリカでの経験が、組織の中にとどまっていることを少々窮屈だと感じるきっかけとなった。 

「本当に不思議なんだけれど、たまたま飛行機の中で隣り合わせた人が岡本行夫さんでした。後に小泉政権のブレーンとなる人だけれど、この飛行機での出会いをきっかけに何度かお会いしているうちに、パートナーとしてうちに来ないかと誘っていただきました」

小宮さんが三三歳になろうとしているころだった。

大企業の中の組織人とは別の道を模索し始めた小宮さんは、岡本さんのところに行く決断をする。「この時の経験は本当に大きかった。岡本さんのカバン持ちとして当時ソニーの会長をしていた森田さんに会いに連れて行ってもらったり。偉い人って本当に優しいの。僕が独立した時もどれだけの人が応援してくれたか」 

当時の小宮さんの胸の中には、アメリカでの経験が尾を引いている。「自分の名前を冠にした会社を作ることが最も尊敬に値するというアメリカ社会。例えばゴールドマン・サックスだったりマッキンゼーだったり。僕もそうなりたいと思っていたのだと思う」 

岡本アソシエイツに三年いたあと、村上美晴さんという、卓越した経営者に出会えたのも「本当に幸運だった」 

当時の村上さんは小さな設計会社と介護の事業をしていた。「岡本さんのところは大企業が交渉の相手だったけれど、村上さんのところは中小企業。金もない、知名度もない、人もいない。そういう企業をどうやったら強くできるかを村上さんから学びました」 

小宮さんは自分のことを運命論者だという。自分から何かを計画し、それを実行に移すというよりも、来るものを受け止め、そこに自分を同化させていく。結構やんちゃなところもある人だが、基本は「受け入れる」という姿勢。先のことよりも、「今ある足元を見据えなさい」といつも小宮さんから言われているような気がする。 
小宮さんがとても気に入っているという近著2冊
ほかのセミナーは参加したことがないので比較はできないが、いつも変わらない原点の大切さを肉声で伝えられることで、人は「また頑張ろう」と思えるのかもしれない。時々瞬間湯沸かし器のように怒ることもある小宮さんのことを、周りの人たちはとてもよく理解している。 

誰よりも自分を厳しく戒め、努力する小宮さんの背中を、私は一つの指針にしたいといつも思っている。

そんな小宮さんに、最後に聞いてみた。「日常の中で、これだけは日々大切にしているということを教えてください」 

たくさんあって難しいな~。「じゃ、三つだけ教えてください」 

「そうね~、一つは寝る前に日記を書いて日々反省する。そして松下幸之助さんの『道を開く』を読むこと。これは二四年続けているけど、日本で最も成功した経営者が何を考えて生きていたかを学ぶことはとても勉強になるし、何度読んでも発見があります。二つ目は結構僕、信心深くて。帰りがけ、家の近くの神社に手を合わせている、これはできる限りね。大阪でのテレビの収録の時も、毎日放送の近くの神社を拝んでから行きます。三つ目は自動改札もいい数字のところを通ることかな」 

電車や地下鉄の自動改札機に番号がついているなんて、知ってましたか? 小宮さんに言われてから見ると、本当に数字が書かれている。気づいていないことがあまりに多すぎると痛感した瞬間だった。 

そして最後に小宮さんからこんなアドバイスをいただいた。 

「自分が尊敬している人だったり、信用している人、その人が「いい」ということをやっていくと、人生のステージが確実に上がりますよ」 

なんでもやってみることが大切。一歩踏み出すことがすべてにつながる。小宮さんはこのことを、私にいつも教え続けてくれる。
2017年1月27日 新聞掲載(第3174号)
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