第156回 芥川賞・直木賞 受賞作決定!|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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受賞
2017年1月27日

第156回 芥川賞・直木賞 受賞作決定!

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1月19日、東京都内で第百五十六回芥川龍之介賞と直木三十五賞の選考会が行われ、芥川賞には山下澄人氏の「しんせかい」(新潮7月号)、直木賞には恩田陸氏の『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)がそれぞれ受賞作と決定した。


蜜蜂と遠雷(恩田 陸)幻冬舎
蜜蜂と遠雷
恩田 陸
幻冬舎
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 選考委員代表による受賞理由の説明では、芥川賞の吉田修一氏は山下氏の作品について「王道の青春小説として面白かったというのが素直な感想だ。なおかつ主人公が特殊な状況に置かれた時に、周りの人たちをバカにするわけでもなく、かといってそこに乗っかるわけでもない「冷やされた言葉」で全篇描かれているのが新鮮だった。また作者の現在の立ち位置と描かれる世界との距離がかなり開いていて、その距離感に新しさとリアリティがあった」と評した。

直木賞の浅田次郎氏は恩田市の作品について「何度も候補になる方はどうしても以前と比較されてしまうのだが、今回は大変いい評価が下された。大変大きなスケールの作品をきちんとまとめ、音楽や才能という小説にしづらいものを、恩田さん独自の言葉で多様な表現をして迫ったことに評価が集まった。恩田さんは想像力が豊かすぎて言葉の洪水になってしまうことがあり、今回もそのきらいはなくもなかったが、それが瑕瑾とはならず、話も見事な着地だった」と作品を讃えた。

しんせかい(山下 澄人)新潮社
しんせかい
山下 澄人
新潮社
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 受賞者会見で山下氏は「芥川賞は凄いなとちょっとびっくりしている。僕が芥川賞作家になったと聞かされても「ウソやろ」という他人ごとみたいな感じだ。でもこれでもう候補になって連絡を待つことがなくなるし、自分以外の人たちが待つこともなくなった。みんな受賞を喜んでくれたのでほっとしている」と時折照れたような笑みを浮かべながら歓びを口にし、恩田氏は「まったく実感がなくて、本当に大事だったんだとうろたえている。自分には縁のない賞だと思っていて、候補になることは自分がまだ一線にいるんだと分かって励みになるというものだった。今回は各社の担当の方々と新年会を兼ねて待っていたのだが、だんだん緊張してきて、これでまた残念でしたとなると大変だなと思っていたので本当にほっとした。この小説は一番長い時間をかけて書いたもので、これを書きながら自分でも勉強になった部分や成長したなという思いもあるので、この小説で受賞したことはすごく嬉しいし本当に良かった」と受賞の喜びを噛みしめるように語った。
2017年1月27日 新聞掲載(第3174号)
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