シリーズ「文系学部解体―大学の未来」第3回② プーチン・ メドヴェージェフ方式|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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文系学部解体-大学の未来 第2回
2017年1月20日

シリーズ「文系学部解体―大学の未来」第3回②
プーチン・ メドヴェージェフ方式

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(前回よりつづく)
ハヤシザキ
 「非民主化=独裁下」について話します。これは学長のガバナンス強化に関わって来る話です。うちの大学の学長が何をしたのか。いろんな酷いことをやっていますが、一番すごいのは、組合派の教員の冷遇・弾圧です。大学教員も教職員組合を作って、自分たちの給料が下がらないように頑張るわけで、唯一の抵抗勢力ですね。組合の人々を非常に冷遇する。再雇用特命教授の申請拒否、勤勉手当成績優秀者・特別昇給対象者の講座推薦を拒否、組合書記長の評議員への講座推薦を拒否など、組合員に対する対応は酷いものです。二〇一四年一月にはこんなこともありました。教授会選出による研究科長の任命を、学長が拒否する事態が起こった。本来、教授会が決めた人をただたんに任命するという学内規約になっているんですが、学長はこれを頑なに拒否し、まったく別の人を任命した。拒否の理由は何か。その組合員が学長の考えにそわないからだと思われます。この件に関しては、組合員に対して不当な扱いをしたということで、福岡県労働委員会より不当労働行為が認定されて、救済命令を大学は受けています。現在は、中央労働委員会に再審査が申し立てられて、命令の交付を待っているところです。国の法律に厳格であるべき国立大学が、不当労働行為を認定されるなんて、あり得ないことなんですよ。しかし、そういう事態が起こってしまうぐらい、福教大では酷い運営がなされているということです。

学長の選出に関して言っておくと、これまでは意向投票をもとにして、学長選考会議が投票上位の人を、できるだけ選んでいました。寺尾元学長は、最初は意向投票で勝ち、学長になった人です。でも再任の時には意向投票で負けた。しかし学長選考会議で選ばれた。理由は簡単です。学長選考会の委員を選ぶのはいろいろなプロセスはありますが、結局のところは学長なんですね。だから再選されやすい。これが二〇一三年のことです。そして二〇一五年に、次の選出がありました。この時に、寺尾さんが何をしたのか。意向投票制を廃止したんです。投票を廃止したということは、学長選考会議が自由に選べるということです。ただ学長は、つづけて六年以上はできないことになっている。この時点で、もう一回はできない。だから、自分の腹心とよべそうな人を学長にした。将来的には、新しい学長が辞めた時に、また自分が返り咲く思惑がきこえています。我々はこれを「プーチン・メドヴェージェフ方式」と呼んでいます。首相と大統領を交替でやるようなものです。ロシアというのは、権力者が永遠にその座から落ちないシステムが出来上がっている。その恐ろしい世界が、福岡教育大学で起こっているのではないかということです。もちろん、学長が変わらなくても、いい人ならば構わないと思うんですよ。神様のような人が学長だったらいい。でも残念ながら、そうではない。僕の場合も、目の敵にされて、炎上事件を理由に停職三ヶ月にされた。こいつを罰する絶交の機会だと、停職を与える口実になったわけです。

この学長が何をしたのか。ひとつひとつ挙げれば、キリがありません。「右傾化」にかかわることですが、入学式・卒業式における国歌演奏・国歌斉唱。これは国立大学の中でもかなり早い方だと思います。今は文科省の指導で増えていますが、それを先駆けてやった。大学の本部前に国旗を掲揚する。しかも監査の人がそれを見て、「国旗を毎日揚げたままにしているのか」「雨が降ったらどうするのか」「夜になったら露がつくじゃないか」と言いはじめて、毎朝毎晩、日の丸の揚げ下ろしをするようになりました。

もっと酷いのは、「学生による集会・掲示・配布の制限」をしたことです。学生又はサークルが、学内において集会をする時は、あらかじめ責任者を定め、使用目的を明らかにした上で、許可願いを学長に出して、承認を得なければならないことになった。これは僕のツイッター炎上事件があった後のことです。又、集会の責任者や参加者が、教職員の指示に従わない時は、当該集会の開催の禁止又は集会の解散を命じることができるという規定まで作った。恐ろしいことですよ。国立大学でこんなことがあっていいのかなと思います。集会や結社の自由を制限しているわけですからね。
(つづく)

2017年1月20日 新聞掲載(第3173号)
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