連続討議 「文系学部解体―大学の未来3」 室井尚・ハヤシザキカズヒコ なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(3)③ 学生も表現を通じて… 映画制作・縮小反対デモ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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文系学部解体-大学の未来 第3回
2017年1月27日

連続討議 「文系学部解体―大学の未来3」 室井尚・ハヤシザキカズヒコ
なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(3)③
学生も表現を通じて… 映画制作・縮小反対デモ

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〈先週のつづき〉
ハヤシザキ
 「プーチン・メドヴェージェフ方式」で権力が永遠に続くかのような状況で、教職員や学生たちが虐められているにも関わらず、なんで人々は声を上げないのか。僕が停職三ヶ月をくらった時も、「なぜ学生とか同僚の先生が声を上げないのか」と言ってくれる人びともいました。これには、いろんな理由があります。組合は声を上げているんですよ。「寺尾政権暴挙の連発」というビラを作って配ったりして抵抗はしている。でも、あまり効き目はありません。執行部も開き直っているわけです。どんどん横暴化・腐敗化が進み、大学が私物化されていく状況にあります。教員の中には、他の大学に移るためにトラブルを起こしたくないという人もいます。さっさとこんな大学を辞めて、別の大学に勤めた方がいいと考える人がおおい。大学の惨憺たる有り様を見て、教員がどんどん出て行く状況になっています。

抵抗をしないもうひとつの理由としては、「怖い」ということもありますよね。ある学生が怒って、ひとりでスピーカーを持って、学内で演説をしたことがあった。そのまま事務員に捕まって、排除されました。その後、集会禁止の規定ができて、何も抵抗できなくなってしまった。僕は、もうストライキをしたらいいんじゃないかと、組合でいつも主張しているんですが、学生に迷惑がかかるとか、組合の中にも引く奴がいるんじゃないかという意見もあって、実現はしません。本当にどうすれば、声を上げられるのか。この後の討論で議論できればと思います。
室井
 次に三浦翔君たちにお願いします。
三浦
 こういう場で、普通の学生が喋ることに気持ち悪さを感じてしまいますが、文系学部解体の問題を考えはじめたときから、学生も教員と同じように、自分の意見を言うべきじゃないかと思うようになりました。はっきりと発言していかないと、大学の多様性は失われてしまうことにあるとき気づきまして、今日はそういったスタンスで喋ろうと思います。室井さんが最初に紹介してくれましたが、僕は卒業制作で『人間のために』という映画を作りました。この映画では、右とか左といった思想を示すというよりも、政治や世の中に対して、僕や周りの友だちが感じている違和感を寄せ集めて、そこからどうやって自分の意見を言ったり、自分の表現をやり直したりすることができるのかということを考えています。理由はいろいろあると思いますが、ぴあフィルムフェスティバルで僕の作品が上映させてもらうことになり、評価されたり、貶されたり、多くの議論が起きたりしています。これからも京都・神戸・名古屋・福岡での上映が予定されていて、自分の発信していることが少しずつ外に共有されていく感覚を持っています。そうした意味では、不要であると言われた文系学部、そこに所属していた学生のひとつの成果だと言える活動だと思っています。映画を撮ったあとに、今度はデモをやることになったのですが、僕自身は、表現を通じて何ができるのかを日々考えていて、デモ自体も、ひとつの表現手段だと考えています。これについては、デモの主宰者である本村君に詳しく話してもらいます。
本村
 デモのタイトルは「人文社会系学部の縮小に抗議する集団行進」でした。実際に街に出て、文系学部縮小に反対であることを主張していこうと考え、今年一月、横浜国立大学の学生を中心に、横浜みなとみらいで抗議の行進をしました。今回の議題の「なぜ誰も声を上げないのか?」という話に絡めて言うと、なぜ僕が声を上げたのか。僕は自分が学んだ人間文化課程が好きで、それが廃止されることに納得いかなかったので、とりあえずデモでもしてみようかと、最初はそのぐらいのノリだったんですね。そもそも学部改変される時、実際に学んでいる学生に一度も意見を求めることがなかった。それはちょっとおかしいんじゃないかと思ったことが大きかった。その思いを外に広げていきたかったわけです。

(つづく)
2017年1月27日 新聞掲載(第3175号)
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