集中連載7= 吉見俊哉・室井尚『文系学部解体』VS『「文系学部廃止」の衝撃』|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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文系学部解体-大学の未来 第7回
2016年10月28日

集中連載7= 吉見俊哉・室井尚『文系学部解体』VS『「文系学部廃止」の衝撃』

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室井
それは文系と理系両方で専門を取れるということですか。
吉見
文系と理系でもいいし、文系と文系でもいい。理系と理系でもいいんです。文理融合じゃなきゃいけないとは思いません。
室井
これは自分の生き方に関わることですが、専門に閉じこもるのが好きじゃないんですよ。もちろん専門を否定はしない。狭い専門をずっと掘り下げる人もいなくちゃいけないと思うけれども、どちらかというとアマチュアリズムが、僕は好きなんですね。プロって不自由でしょ。長いことやっていると、それなりにプロになってしまうんですが、あまり専門には拘りたくない。すべて知ったかぶりで、広く浅くというのが好きなので、「ダブルメジャー」とか言われると、そんなのなくてもいいんじゃないのと、つい言いたくなるんですよ。
吉見
そうだとすると、純粋に教養課程ですよね。学部がなくていいということになる。
室井
それは大学の組織の話ではなくて、知識のあり方についてです。
吉見
ただ、この問題は、どうしても大学の組織のあり方とくっついて考えざるを得ない。ふたつの専門を持つというのも、大学のカリキュラムに関わることですから。
室井
それは大学院教育のことを考えてのことですか。あるいは十八歳、十九歳の学部レベルの学生を考えてのことですか。
吉見
両方です。現在だと大学入学後、一年生から二年生の途中までは、いろいろな教養科目を取って、三年生ぐらいから専門を選べるようになりますよね。
室井
東大だと駒場と本郷で分かれていますから、三年生から専門に進むわけですよね。国立の新制大学では、大綱化以降、二年生ぐらいから専門分化するようになっていますね。一年生が教養中心で、二年生から専門に分かれる。ただ理系の先生に聞くと、理系の学問は累進制だから、一年生から順番に積み重ねていかないと、専門の知識には到達しないと、よく言われますね。一年生だって、余計なことをしている暇はないと。
吉見
みんなそうおっしゃって、私の意見は受け入れられないんです。でも私は、そのようには考えていない。理系だって、ふたつ専門があってもいい。かなり累進性が強い分野であれば、それをメジャーにして、もうひとつマイナー専攻をしましょうという話です。ダブルメジャーまではいかないかもしれないけれど、ひとつの専門だけしかやらないよりは、ずっといい。たとえば工学系の累進性の高い学問をやりながら、もう一方で哲学をやるとか、別の分野をやることによって、学び方は大分違ってくる、ずっと深くなると私は思います。 

<次週に続く>
2016年10月28日 新聞掲載(第3162号)
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