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漢字点心 第215回
2017年2月3日

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「追儺(ついな)」とは、宮中で大晦日に行われる、疫病神を追い払う行事。それが民間にも伝わって、節分の豆まきになったという。「儺」は見慣れない漢字だが、一文字だけで「悪鬼を追い払う」という意味を表す。「おにやらい」と訓読みすることもある。

日本の「追儺」の歴史は、平安時代にまでさかのぼるらしい。ただ、中国の「儺」はもっと古い。孔子は紀元前六~五世紀の人だが、村人たちが「儺」の行事をしている間、この哲人は正装に身を包んで祖先の霊廟の前に立っていた、と『論語』にはある。

なぜそんなところに立っていたのかというと、一説には、祖先の霊まで追い払われないようにするため。別の説では、それが孔子なりの村の行事への参加のしかたであった、とする。どちらにせよ、孔子さまは大まじめなようだ。でも内心では、村人たちに混じってハメを外してみたいなあ、と思っていたのかも、などと想像してみるのも、楽しい。
2017年2月3日 新聞掲載(第3175号)
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