【横尾 忠則】自爆感電ナムアミダ仏 青ネクタイの葬列の夢|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側 第276回
2017年2月3日

自爆感電ナムアミダ仏 青ネクタイの葬列の夢

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2017.1.23
 アトリエの暖房器が三機とも故障した。何が原因だと思います? 室外機にヤモリが暖を取るために侵入したところ自爆感電死00.10K0100卍ナムアミダ仏00.10K0100卍。そんなわけで駅前の喫茶店で書評本を読む。店を出てしばらく歩いたところ誰かが後を追ってくる。「あのォ、レジにおつりが50円残っていました」。どうぞチップに、というわけにもいかず返金される。この間など一ヶ月振りに行った漢方医では、「この前一円落とされました」と返金される。結構ですというのも失礼だし、貰うのも恥ずかしいものだ。

2017.1.24
 アトリエの床に200号大のキャンバスを拡げて高橋睦郎さんが細密画を描いている。本人はいないが、以前も小さい鉄の彫刻を作っていた。勿論夢である。

女剣劇の浅香光代さんが京風料理店で折詰弁当を食べている。「大成した人には何人もの霊がついていて協力するのよね」と言いながら、昔いた老弟子が戻ってきていい味を出す役者になったと言う。そんな彼女の話を死んだ母が黙ってうなづきながら聞いている。

ヤモリ災難で風月堂の二階で原稿書き。真向いが「成城石井」。そのロゴがよくないので修正案をスケッチする。まさか売り込んだりはしませんよ。ただ退屈だっただけ。

2017.1.25
 朝方まで不眠状態、従って夢劇場は休演。

大阪の国立国際美術館の安來さんが二〇一〇年来のポスターを収蔵するために来訪。ぼくのポスターの中にはクライアント名なし、架空のクライアント、または無断使用クライアントのポスターがあるが、これらは全てアート行為。だけど時と場合によってはどちらにも属する場合もある。だから一概にポスターだ、版画だ、美術だと決めつけられない。「ある時は片目の運転手、ある時は多羅尾伴内、ある時は藤村大造」と名乗った片岡千恵蔵みたいなところがぼくの作品の特徴だ。だからバイ・セクシュアルとかバイ・ロケーションみたいに両義性のぼくの作品にはこれからは「バイ・メディア」という新語を使用しよう。

2017.1.26
 昨日の不眠がウソのよう、七時間ノンストップ睡眠。夢は見たが書くほどのものではないが一応書く。50人位の男が歌舞伎の坊主カツラをつけている。それが青色ではなく黒色。ネッ、わざわざ記述するほどの夢ではないでしょう。

「文藝」の岩本さんがサンタナ特集のためにインタビューに。「文藝」の〈アトリエ対談〉を見学したいという作家が二人いるがどうしましょうと。第三者がいないからしゃべれる話なんですよね。保坂さん、磯﨑さんに聞いてみて。
アトリエにてマーク・ベンダさんと(写真・徳永明美

2017.1.27
 ぼくの夢の欠点はフロイトじゃないが、夢特有のエロさがない。と思っていたら先週の夢では全裸の女性が出てきた。それもただ全裸で立っているだけのたわいない夢。

本日の夢は異例中の異例。郷里の家の前の通りに長屋が並んでいる。その前の道でアラブのベリーダンサーが踊っている。近所の見物人の一人が中央に連れ出される。まさか自分とは。彼女はくねくね腰を振って踊りながらマジックのようにワシの衣服を剥ぎ取って裸にさせられた途端、いきなり急所をムギュ★☆★! ×◎卍☆♥♡と思った瞬間、覚醒☆ф

夢Part2=新宿にパリのクレイジー・ホースが来た。「見たい♥」と妻は行く。ワシは「リドがいいや」と、そっちに行くがタキシード不着用者は入場拒否。米大統領令?

夢Part3=芸能夢から芸術夢へ。三島(由紀夫)さんが「横尾君にあと残されたのは『日本』の表現だね」。そこへ谷崎(潤一郎)さんと黒澤(明)さん登場。「三島君の論理性には危機感をおぼえる。あんまり日本を意識しない方がいい(谷崎)」「横尾君の訳のわからないものが君の日本だよ(黒澤)」と夢と覚醒の狭間のバーチャルで朦朧と聞く。

NYからマーク・ベンダさんが来訪。来年四月にNYでの個展の依頼。今描いている作品が気に入り、これでいきたいと言う。

光文社新書の小松さんが以前から懸案の朝日の書評を出版したいと。七月に。

荒俣宏さんから寒中見舞が届く。甘物禁止令を出したばかりに「アラマッタ!」。でも高級和菓子は戴きます。
2017.1.28
 NYのMoMAがクリアファイルを制作。68年作の「NEW YORK」作品がよほどお気に入りと見えて、ポスター、カレンダー、ポストカード等のグッズ展開をしている。

午後、公園のテラスでエッセイ五本書く。といっても枚数的には十六枚。

夕方、整体院で休息。

2017.1.29
 トランプが死去! 葬儀の参列者全員が赤ではなく青いネクタイをしている。夢にもパロディ精神が存在するんだ。

そばを食べながら、「寅さんの役は渥美清しかできないけれど、健さんという手もある(笑)」と山田さん。「三島さんという手はダメでしょうかね?」。

夕方、ピカ*ビアでシャンプーとカット。

夜、昼間の大阪国際女子マラソンの録画を見る。日本人を優勝させて五輪を盛り上げたいので外国人の優秀選手招待せず。国内第一主義ですかねえ。

2017年2月3日 新聞掲載(第3175号)
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