『新社会学研究』 / 好井 裕明(新曜社)『新社会学研究』がめざすこと|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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2017年2月3日

『新社会学研究』がめざすこと

『新社会学研究』
編集者:好井 裕明、栗田 宣義
出版社:新曜社
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『新社会学研究』には三つの使命が賦与されています。第一は、社会学の最先端で第一線の研究媒体であることです。第二は、誌面全篇が最初から最後まで通読する価値、有意義さ、面白さに満ちた媒体とすることです。第三は、同人か抱く理念を体現した魅力溢れる特集を毎号組むことです。

第一の使命を果たすため、公募特集ではエントリーシートを厳格に審査し、執筆依頼した論文に対しては、既存学術誌によく見かける「落とす査読」ではなく、論文内容の意義を誠実に判断し、掲載を前提としつつ少しでも投稿者の主張や意図が正確に反映できるよう論文を洗練させていく「育てる査読」を心がけています。第一線の社会学研究誌は同時に優れた教育誌であるべきだと考えるからです。

第二の使命を具体化するために、同人はそれぞれの得意分野の連載企画を持っています。「くまじろーのシネマ社会学」「極私的社会学」「音楽する映画」「論文投稿と査読のホントのところ」「ファッション&パッション」「ビデオで調査をする方法」「社会学者スーパースター列伝」「ネコタロウに聞け!外伝篇」など。サブカルチャー、社会調査法、論文投稿、社会学各論、学史にいたるまでを『研究』の全篇にちりばめ通読できる愉しい読み物を提供しています。言い過ぎでなければ、私たちが少年時代に手塚、石森、水木、赤塚、ちば、など天才マンガ家の作品を読みふけった週刊漫画雑誌に満ちていた愉しさやワクワク感を社会学雑誌に写し取りたいのです。愉快に読める楽しさを持ちながら社会学的思考というスパイスをふんだんに効かせ、読者を学術の世界へと誘う企画をめざしています。連載企画は今後もさらに磨きをかけ、読者に愛され喜ばれる作品群を生み出していきます。

そして第一と第二の使命を繋ぐ第三の使命として、毎号、個性や才気が溢れる執筆陣を選定し特集を組んでいきます。第一号では、公募特集テーマと連繋した「〈いのち〉の社会学」をテーマとして、独創的で魅力あふれるエッセイを載せています。

気鋭の若手や中堅による最新かつ一流の研究成果を載せた査読公募特集、社会学の面白さを軽快に伝えんとする連載企画、そして研究理念の結晶をめざす同人企画特集、加えて巻頭リレーエッセイ。他の学会誌や会員誌であれば、こうした一連の企画は編集委員会の「恣意」「先走り」などの烙印が押されるかもしれません。しかし小回りが効く同人誌であるからこそ、同人間で濃密なやりとりが可能となり、一気に実現させ、読者にその意義を問うことが可能となったのです。

以上に鑑み、『新社会学研究』という同人の五名プラス編集者高橋直樹氏の六名が操る小舟は、同人誌かつ商業誌として広大な書籍流通販売という巨大市場という海原へ出帆したのです。既存の学会誌や会員誌では会費を徴収し雑誌を刊行しています。しかし『研究』は、そうした安定した経済的保障や保険はありません。面白くなく、売れなければ、当然『研究』の継続的刊行は厳しくなるでしょう。小舟は出帆したばかりです。私たち同人は『研究』には既存学会誌や会員誌にはない面白さと価値、なによりも同人五名に息づいている社会学への熱い「思い」が充満していると確信しています。そして『新社会学研究』に託した夢を実現し続けるため、さらに努力していきます。その成否の判断は読者のみなさんに委ねたいと思います。

社会学の技術と精神の普及、告知、称揚、涵養、発展、革新をはかるために上梓された『新社会学研究』という果実が甘いのか、それとも苦いのか。ぜひ実際に味わってみてください。

この記事の中でご紹介した本
『新社会学研究』/新曜社
『新社会学研究』
編集者:好井 裕明、栗田 宣義
出版社:新曜社
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年2月3日 新聞掲載(第3175号)
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