連続討議 「文系学部解体―大学の未来3」 なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(4)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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文系学部解体-大学の未来
2017年2月3日

連続討議 「文系学部解体―大学の未来3」
なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(4)

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学生から大学改編問題に 一石を投じる 「喪服デモ」

本村
学外でデモをやったもうひとつの理由は、この問題は単に横浜国立大学だけではなく、全国の大学が共有する問題であって、学生が発言していく可能性が広がっていくんじゃないかと思えたからです。三浦君が「デモも表現手段のひとつ」と言ったけれど、二〇一五年は、いくつかの学生団体が、プラカードを使ってデモをしていました。彼らの表現の仕方を見ていて、ストレートに力があるように感じられたんですね。だから僕らも、自分たちの学科がなくなることに対する怒りをエネルギーにして、うまく表現に繋げることができれば、格好いいデモができるんじゃないかと考えて、服装は喪服指定にしたんです。学科がなくなることをお葬式に見立てて、未来のために行進する。そんなことを言いながら、みなとみらいを歩きました。反響としては、新聞にも報じられて、学生から大学改編の問題に一石を投じることができた、決して無駄な行動ではなかったと捉えています。
三浦
みなとみらいデモのあとは、デモが大変だったのもあり特に何もやっていなかったんですが、ここにいる宮崎君が、ある時「デモをもう一回やりたい」と言い出した。そこから次の活動に繋がっていったんですよね。
宮崎
最初、喪服デモをもう一回やりたいという話をしたんです。あの頃は、政治やアートの関係性とか、そういうことについて勉強していたこともあって、一回目よりうまくやれるんじゃないかという思いもありました。それが五月ぐらいのことです。ただ、去年の夏ほど、社会もそんな雰囲気ではなくなっていた。だから僕たちも、デモではなくて、もっと別の方法がないかと考えて、外部の人と繋がっていこうと思ったんですよね。
三浦
落ち着いていろんなものを見てみようというところからはじまって、そこから全国に旅をして、各地で声を上げている学生に会いにいく活動をはじめたわけです。西は大阪・広島・佐賀・名古屋と一周して、北は金沢・新潟・福島・仙台・茨城と周りました。ここでは、佐賀大学・静岡大学・新潟大学の運動について報告します。佐賀大は文化教育学部が改組されることに対して、二〇一四年から抗議の声が上がっていました。改組に伴って、九州にふたつしかない国際系の学科である国際文化課程のコースが廃止される。それに対して、学科新設を求める署名活動が、学生のあいだから起こった。この活動から何が見えてくるのでしょうか。自分たちの大学が、国際化やグローバル化のニーズに、どのようにして応えていけるのか。それを学生自らが考えようとしたことがよく伝わって来るんですね。また佐賀大学では、「有田セラミック専攻」なるコースを含む、芸術地域デザイン学部が新設されるんですが、その中に国際系のコースはありません。それどころか、企業や理工系学部と連携を組むような体制で、文系学部からの大きな転換があります。よく言われる、地域重点型大学への移行であると考えていいと思います。そのあと、以前の署名活動とは別の流れから同じ学科の後輩にあたる学生たちを中心にしたデモが行われました。一年後のことですが、七十人が集まった。佐賀大学の学生の関心の高さは、彼らの話を聞いていてもよくわかります。大学愛があり地域愛があることがそこから見えて来ます。(つづく)
2017年2月3日 新聞掲載(第3175号)
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