「文系学部解体―大学の未来3」  なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(5)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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文系学部解体-大学の未来
2017年2月10日

「文系学部解体―大学の未来3」 
なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(5)

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本村
静岡大学ではカシダさんという学生と話してきました。静岡大学の人文社会学部が毎年行なっている学生企画のイベントで、「人文学は役に立ちますか?」という展覧会を、カシダさんはふたりの友人らと企画しました。その展覧会を通じて、大学内外の人から意見を聞きつつ、展覧会の記録をまとめた冊子も販売しています。彼女たちがなぜこんな催しを開催したのか。静岡大学では、人文社会学部は人員削減に留まっているんですが、ゼロ免課程(新課程)は廃止になり、自分の勉強する領域が社会的な理由で削られていくことに対して違和感を持ったわけですね。この問題を他の人と議論したいと思って、展覧会を考えた。「学生は、自分たちの大学に関して興味がないと言われるけれど、自分はどうしても気になってしまう。それについて発言するのを我慢して、言わないような人生を送りたくない」。そんなことを彼女は言っていました。現状を打破するために、抗議をするのではなく、誰でも参加しやすい展覧会や読書会を利用しながら、自分たちの内部で議論を行なう。そして冊子などで意見を可視化させる。これはひとつの方法としていいなと、僕は思いました。デモで強引にやるのではなく、こういうやり方もあることを、カシダさんたちから学ぶことができました。
三浦
最後に新潟の話をします。実際に訪れて感じたことは、街のあちこちでアート関連のイベントが企画されていて、文化レベルが高い街であるということです。新潟大学の音楽科の学生と話をしたことに加えて、初対面であるにもかかわらず、その人たちと、特技を持ち寄ってセッションをしました。これも、ある種の対話だったと思います。ここもゼロ免課程なんですが、彼らは現代音楽の最先端をやっていて、演奏のレベルが高い。なんでこんな学科が潰されるのかと、話を聞いているこちらまで怒りの感情が湧いてくる。そんな新潟の人たちからメッセージをいただいたので、城君が代読します。
「連続シンポジウム <文系学部解体―大学の未来>にご出席の皆様へ。昨年10月22日、新潟大学より「同大教育学部新課程及び大学院教育学研究科修士課程の平成29年度募集停止」の通達を受け、新潟大学における芸術・スポーツ・文化教育の継続を訴える新潟大学教育学部新課程有志学生会(以下:有志学生会)が発足されてから1年が経とうとしております。

会員それぞれが、研究や進路との両立に悩みながら行ってきた有志学生会ではありますが、大学内外の多くのみなさまの励ましとご支援により、大学執行部と学生による協議説明会を開催、一般市民向けシンポジウムの開催、学生団体との合同学習会の開催、新課程の受け皿設置を求める署名1445筆を学長に提出するなど、現在まで活動を継続することができました。

これらの活動は、決して有志学生会のみによって成されたものではなく、多くの方々が地域に根差す芸術・スポーツ・文化教育を必要とし、また国公立の総合大学における芸術・スポーツ・文化教育を必要としているからこそ成されたものであると感じております。

私共有志学生会は、芸術文化というものは「中央」によって形成されるものではなく、むしろ芸術文化に「中央」という概念は存在しないと考えております。新潟、横浜、東京、それぞれに特有の、あるいは共通の人間観、風土、資源によって、芸術文化は形成されていくのです。この芸術文化を、それぞれの地域に根差す学術研究機関が牽引せずして、いったいどこが系術文化教育を行い、だれが芸術文化活動を行っていくのでしょうか。

「芸術・スポーツ・文化が存続の危機に瀕している時、それを守り継承するべく努める、これは芸術・スポーツ・文化活動に携わる者の使命である。」有志学生会の発足時からのスローガンを私共は忘れず、今後はより一層の発展的な活動を模索してまいります。

最後になりますが、今回のシンポジウムにお誘い頂いたにもかかわらず、私共の都合により出席できませんことをお詫び申し上げ、この度メッセージをお送りする機会を頂きましたことに御礼申し上げます。新潟大学教育学部新課程有志学生」

以上です。 (つづく)
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2017年2月10日 新聞掲載(第3176号)
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