没後10年記念ブックフェア&連続トークイベント 「池田晶子の言葉と出会う」 トークイベント第一回 川上未映子氏|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

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催しもの
2017年2月10日

没後10年記念ブックフェア&連続トークイベント
「池田晶子の言葉と出会う」
トークイベント第一回 川上未映子氏

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日常の言葉で「考える」ことの大切さを伝える「哲学エッセイ」の著者、池田晶子がこの世を去って十年。現在、「没後十年記念 池田晶子ブックフェア&連続トークイベント」が、出版七社(KADOKAWA、講談社、新潮社、中央公論新社、トランスビュー、本願寺出版社、毎日新聞出版)合同で開催されている。期間中、全国各地の書店で、七社統一オビによる既刊ブックフェアや言葉のパネル展を開催。トークイベントでは、作家ら“新しい言葉の表現者たち″による、「池田晶子の言葉」を新たな読者に届ける試みが始まっている。

 一月一六日、八重洲ブックセンター本店八階ギャラリーで開催されたトークイベント「池田晶子の言葉と出会う」の第一回は、作家で第一回わたくし、つまりNobody賞受賞者の川上未映子氏が登壇。(*同賞は池田氏の著作権を継承するNPO団体が主催)

子どもの頃から、生死や在る・無いといった、ものごとの「分母」の方に興味があったという川上氏。十代の終わりに池田晶子氏の著作に出会い、時を同じくして自分の中の問いに応えるものとして哲学に出会ったという。

「これは私にとってすごく幸福な出会いで、宗教も科学も哲学も方法が違うだけで、在るということを考えるための総力戦なんだと実感した。その存在者としての最初の驚きを持ったままどのように生きていけばいいか。問いを持つということ自体を、池田晶子さんに肯定してもらったという気持ちがある」。

また、「池田晶子の言葉」を考えるための具体例のひとつとして、善(または悪)という言葉について、池田氏と自身の考え方の違いに触れながら、「哲学は、道徳的・倫理的にもっとも危険なところに踏み込んでいけるもの」とし、「池田さんの言葉を読むと、自分の問いにどんどん接続されていく。そういう意味で池田さんの思考というのは私の問題にも繋がっている」と話した。
考える人(池田 晶子)中公新書
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(川上未映子さんが選んだ一冊)

私が彼女の作品の中でとくに愛しているのは『考える人』。西洋哲学史を駆け抜けていく池田さんの思考の軌跡が全部入っている。これは彼女のマスターピースです。これまで川上氏は、池田晶子氏からの影響を明言してこなかった。「池田晶子から影響を受けたと言うのは、正しい表現ではないと思った。影響ではなく、池田晶子は運動そのものとしてあるのではないか」。

また、集まった参加者に対して、「池田晶子の言葉を有り難がってはいけない。矛盾を突き、彼女の限界を引き継いで、そこから自分の中で考えていかなければ。そうした批判をふくめて自分はこういう形で彼女からバトンを受け取った、ということを話したいと思って来た」と、会場に語りかけた。

講演の終盤、川上氏は、
「ほとんど会ったこともないのに、私は池田晶子が本当に好きなんです。啖呵の切りかたとかね。色んな話をしてみたかった」と吐露。言葉が取り持つ関係性の不思議について、「言葉をやり取りし、問いを共有したことだけでひとりの人間をこのように好きだと思えて、魂のリレーが繋がっていることを確信できる。これは言葉に許された唯一の可能性であり、言葉というものが私たちにくれたギフト」と語り、講演の最後をこのように締めくくった。

「偶然の導きによって、いま私たちが一堂に会しているという奇跡。この一瞬のこの感覚をもとに、それぞれが「在る」ということについて、それぞれのやり方で総力戦で考えていけたらと思っています」。


<今後の予定>
「池田晶子の言葉と出会う」トークショー・小池昌代氏

2月18日(土)八重洲ブックセンター本店、14時30分開演、講演=小池昌代氏(詩人・作家)、参加費500円(税込)、申込みは同店(03・3281・8201)※以降6月迄の半年間に、片岡義男、池内紀、林家たい平、永沢まこと、武田砂鉄、中村桂子、ヨシタケシンスケの各氏による講演を予定。詳細は、公式サイト(http://www.nobody.or.jp/)。
以下のオンライン書店でご購入できます
2017年2月10日 新聞掲載(第3176号)
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