田原総一朗の取材ノート「安倍・トランプ会談」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年2月17日

安倍・トランプ会談

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二月一〇日に行われた安倍・トランプ会談を、日本の新聞やテレビは、いずれも予想外に成功した、と捉えている。

トランプ氏は選挙中に、日本に駐留している米軍の費用を日本はもっと負担すべきで、それを拒むなら撤退するとまでいっていた。だが日米首脳会談では、日米同盟の重要性を強調し、「日本に米軍基地を置かしてくれていることに感謝する」とまでいった。

さらに、経済問題、とくに自動車について、日本からアメリカには大量に輸出しているのに、アメリカから日本に輸出するのはきわめて難しい。これはあきらかに不公平だと強調していて、首脳会談でも、当然その問題が出るものと日本側は心配していたのだが、自動車問題は出なかった。トランプ大統領は、日本が為替操作して円安に誘導している、とも批判していたのだが、そのことも首脳会談では出なかった。

また、トランプ大統領はTPP参加を全面的に拒否し、二国間交渉で日本にもFTAを求めるとくり返し主張していたが、首脳会談ではFTAの話も具体的には出なかった。ただし、安倍首相は、アメリカのTPP不参加には異議を唱えることはなかったようだ。

首脳会談と直接関係はないのだが、この日、会談の前にトランプ大統領が中国の習近平主席と電話会談をしたということだった。中国はアメリカにとって最大の貿易赤字国であり、トランプ氏は選挙中から、くり返し中国を非難し、台湾の蔡英文総統と電話で話し、中国が怒りを示すと、「一つの中国」を否定するような発言までした。そして国家通称会議議長に対中強硬派のピーター・ナバロを任命するなどして、米中は本気で衝突するつもりではないか、と思われていたのだが、電話会談でトランプ大統領は「一つの中国を尊重する」と確約し、双方が自国への訪問を要請したのである。私は、中国と対決するために日本を引き込もうとしているのではないか、と考えていたのだが、これははずれた。

それにしても、トランプ氏のイスラム圏排除、とくにイラク、イランなど七カ国の国民はビザがあっても入国させないという措置に対して、ヨーロッパの国々のリーダーはいずれも強く批判し、アメリカの裁判所でさえ認めていないのに、安倍首相だけは「コメントする立場にない」とくり返している。これでは、まるで日本はアメリカの従属国のようではないか。
2017年2月17日 新聞掲載(第3177号)
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