連続討議「文系学部解体―大学の未来3」なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(6) 人文学は役に立ちますか?学生からのメッセージ|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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文系学部解体-大学の未来
2017年2月17日

連続討議「文系学部解体―大学の未来3」なぜ誰も声を上げないのか/なぜ伝わらないのか?(6)
人文学は役に立ちますか?学生からのメッセージ

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(先週のつづき)
室井
 ここからは、ハヤシザキさんの話を聞いた感想も含めて、いくつかコメントしたいと思います。ツイッターにおけるつぶやきを発端にした炎上事件で停職三ヶ月という話。それから学長が暴走して大変だという話。大きく言って、二つあったと思います。学長による独裁化に関しては、遅かれ早かれ、全国の大学がそうなるでしょう。冒頭に言ったように、法律が変えられたからです。研究科長選挙の結果を無視して、学長が違う人を任命する。これは法律に、そうしろと書いてあることです。選挙をしたらいけませんとか、学長が選んだ人を学部長や研究科長にしなさいとか、法律で変えられてしまったので、仕方がない。そのことが福岡教育大学では早くからはじまっていた。おそらくは早晩全国にも波及すると思います。文科省は、なんでそういうことをしたいのか。これまでにも散々言ってきたことですが、ステークホルダーである国や社会に対して、大学は責任の所在を明確にしないといけない。その責任者は学長である。つまりは会社における社長あるいはCEOといった最高責任者が学長なんだから、すべてを統括するようにしなさいということです。しかし、そもそも大学は、会社になっていいんだろうか。前回、吉見俊哉さんが説明してくれましたよね。元々中世のウニベルシタスというもののはじまりは、教職員と学生の組合であった。それを今、会社にしようとしている。これが大きな問題のひとつです。もうひとつは、大学で起こっていることを、メディアがきちんと伝えてくれないのも大きい。たとえば、いくつかの新聞記事を資料として配りましたが、新聞の報道が部分的で不正確だと、僕は思っているんですね。「改革しわ寄せ学生に 交付金削減、国立文系を圧迫 福教大「彫刻」の講義開けず」と見出しにはありますが、これを読んでどう思いますか。女性をモデルにして彫刻を制作する。その講義が、モデル代を工面できず開講できなくなった。運営費交付金が減らされたことが原因だと考えられています。横浜国大でも同様の理由によって、二年生の授業の専門科目である「情報基礎論」が、今年開かれていません。実は国立大学は、どこも運営費交付金を減らされていることもあって、そうせざるを得ないのが実状です。福教大だけの問題ではない。また最近目立った記事では、「北海道大学が五年間で二百人の教員を削減する」と大きく報道されていました。今更何を言ってるのか。うちも五年間で六〇人減らすことが既に決まっている。当たり前です。お金が減らされているんだから。しかも人事院勧告に従わないといけないから、給料を上げなければいけない。そうなると教員の数を減らさざるを得ないわけです。そんなことは全国八六の国立大学どこでもやっています。本当に削減するかどうかは別ですが、計画としては上がっている。だから、こんなことを未だに毎日新聞のような全国紙が大々的に報道していること自体、噴飯ものなんです。もちろん記事を書いたのは北海道支局の記者でしょうが、北大だけが大変だみたいに伝えているのが、ちゃんちゃらおかしい。大学が直面している現実が、まともに伝えられていないということに対して、僕はすごい苛立ちを感じています。つまり声を上げても誰も伝えてくれない。声が握りつぶされる。そこから、声を上げても何も変わらないんだから、仕方がないので黙っていようというところまで追い込まれてしまっている。そんな気がするんですね。ハヤシザキさんは、どう思われますか。
(つづく)

2017年2月17日 新聞掲載(第3177号)
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