ホワイトネスとアメリカ文学
著 者:安河内英光/田部井孝次編著
出版社:開文社出版

ホワイトネスとアメリカ文学



 アメリカで今人種に関するトラブルが大きな社会問題となっている。多人種・多民族国家アメリカは建国以来、アングロサクソン系のイギリス人が中心となって、白人が非白人を支配し差別する立場によってアメリカ社会を創ってきた。本書は、その白人のホワイトネス(白さ、白人性、白人)の実態は何なのかを歴史の根幹に遡及し、その流れを考察し、モリスン、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ミラー、ボールドウィン、ハーパー、トウェイン等の作家達が如何にそのホワイトネスの実態を描いたかを分析した。アメリカは、神の国の建設という高邁な理想と、啓蒙思想の自由と平等という近代の理念を掲げながらも、インディアンの土地を奪い、黒人奴隷を導入することによって建国を行っており、そこにはシドニ・カプランが言う「国家の罪」があり、大きな矛盾と分裂を抱え込んでいる。加えて、西洋近代の植民地主義が実践してきた白人中心の社会的経済的差別と弾圧の在り方が現代までに及んでおり、アメリカ人は、この矛盾と分裂、二重性、異種混淆性を受け入れて、自由と平等という普遍的価値を求めていかざるを得ない。 筆者=安河内英光 (四六判・三五八頁・本体三、〇〇〇円)

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