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Forget-me-not
更新日:2017年4月25日 / 新聞掲載日:2017年4月21日(第3186号)

Forget-me-not⑯

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ケニアにあるカクマ難民キャンプで地元警察によって収監されたブルンジ人ゲイ難民たち。理由なき投獄は2日間に渡って続いた。ⒸKeiji fujimoto
年の頃は20歳すぎ、青年たちが大空の下で服を脱がされて警官たちに木の棒で殴られていた。「くそ」とか、「おかま野郎」などと怒鳴られ、その上水をぶっかけられたりもしていた。観衆として集まった付近の住人たちがそれを面白そうに眺めている。僕は少し距離を置いた木陰からその様子を眺めていた。

ついには熱湯が彼らの体に浴びせられる。痛みに歪んだ顔が披露されると、周囲は一層盛り上がりを増す。群衆というのはこういう風に人がいじめられているのを喜んで眺めるものだ。

部族や性別など、少数派に向けた警察からの理由なき暴力はカクマ難民キャンプの中では決して珍しいものではない。しかし昨日まで楽しく会話をしていた男たちが目の前で痛ぶられる様子に、僕はさすがに気分が悪くなりその場を立ち去った。

数時間後に彼らの連行された牢屋を訪れた。怒り、悲しみ、憂鬱…。投獄された青年たちの顔や体からは様々な感情が吹きだしてまるで燃えているかの様だった。

「どうか我々がここにいたことを忘れないで欲しい」

あの時の彼らの言葉は僕の中に残り続けている。いつまでも生々しい現在進行形として。
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