鯨を生きる 鯨人の個人史・鯨食の同時代史 書評|赤嶺 淳(吉川弘文館)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2017年4月24日 / 新聞掲載日:2017年4月21日(第3186号)

鯨を生きる 鯨人の個人史・鯨食の同時代史 書評
鯨人の個人史・鯨食の同時代史
赤嶺 淳著 鯨を生きる 

鯨を生きる 鯨人の個人史・鯨食の同時代史
著 者:赤嶺 淳
出版社:吉川弘文館
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鯨肉というと、ある年齢以上の日本人にとっては、とても懐かしい響きを伴って感じられる言葉であろう。現在では、庶民にはあまり馴染のない高級品となってしまった。理由は、「商業捕鯨」が禁止されたことによる。捕鯨と一口に言っても、そこには様々な人々が関わっている。たとえば捕鯨砲を用いる「砲殺捕鯨」において、捕鯨砲を操るのが「砲手」であり、最も目立つ存在である。しかし、捕鯨船に乗務しているのは、砲手だけではない。鯨を解剖する人や大工もいる。また鯨にまつわる仕事をしている人まで広げてみると、市場で小売りをする人、鯨肉入り食品を加工する人、鯨料理屋の料理人など、多くの人たちが関わりを持っている。

本書冒頭で、著者は次のように述べる。「広義の捕鯨産業に従事してきた、あるいは現在も従事している人びと――鯨人(くじらびと)――の個人史の聞き書きと、そうした人たちが生きてきた時代を「クジラ」を通じて叙述することを目的としている」。著者は、三年間にわたって、六名の鯨人に取材をつづけてきた。その記録が前半部の「鯨を捕る」「鯨を商う」である。

後半部分にあたる「鯨で解く」は、いわば「理論編」。捕鯨の歴史や捕鯨問題について考えるうえでの基礎的な知識を与えてくれる。特に印象深かったのは、「スーパーホエール」について論じている箇所である。これが捕鯨問題の根底にもある。ただし、その問題を考えるのが、本書の目的ではない。「捕鯨を通じて現代社会の複合性を明らかに」すること、多様な文化に対して想像をめぐらしてみること、このことを著者は提言しているのである。
この記事の中でご紹介した本
鯨を生きる 鯨人の個人史・鯨食の同時代史/吉川弘文館
鯨を生きる 鯨人の個人史・鯨食の同時代史
著 者:赤嶺 淳
出版社:吉川弘文館
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