伝説のジャズ・レーベル スリー・ブラインド・マイス コンプリート・ディスクガイド 書評|小川 隆夫(駒草出版9)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2017年5月22日 / 新聞掲載日:2017年5月19日(第3190号)

伝説のジャズ・レーベル スリー・ブラインド・マイス コンプリート・ディスクガイド 書評
決定版TBM読本の完成 
日本最大のジャズ・レーベルの物語 

伝説のジャズ・レーベル スリー・ブラインド・マイス コンプリート・ディスクガイド
著 者:小川 隆夫
出版社:駒草出版9
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スリー・ブラインド・マイス(以下TBM)が設立されたのが一九七〇年。最後の録音、加藤崇之&さがゆきによる「シナプス」が二〇〇三年九月の録音。百三十余枚のアルバムを制作し、制作に関しては三三年間で幕を下ろす日本最大のジャズ・レーベルの物語。そして、そのほとんどをプロデュースした藤井武の物語でもある。

全三百ページの六割で、その全てのアルバム評が著者の丁寧な語り口で添えられている。昔のジャズ批評社が得意だった、ミュージシャン特集やレーベル特集のような形態で、曲目やパーソネル等詳細なデーターも含めてアルバム購買の参考になるだろう。

残りのページでプロデューサーの藤井武氏、録音エンジニアの神成芳彦氏、ピアニストの山本剛氏、そして現在TBMの再発を担当する塙耕記氏へのインタビューを収録。藤井氏と山本氏のものは特に面白く参考になった。

TBMトピックスなる短いコラムが七項目。その中でも「六本木ミスティ」「金井英人物語」「幻の名シンガー、森山浩二」の三項目は貴重な証言だった。私は著者の小川氏と同年齢。多分同じくらいのジャズ歴を持っているはずだが、ミスティも金井英人も森山浩二もほとんど知らなかった。小川氏のテリトリーはジャズのスタイルも、出没するライヴハウスの場所も深くて広い。それに比べて私は浅くて狭い。スイング・スタイルのジャズは聴いていなかったし、フリー・ジャズが好きだった。その割には金井を知らないのだから浅いな。新宿ピットインやタローには通ったが六本木も青山も皆目知らない。一番通ったのが西荻のアケタの店なのだから彼とは水と油の趣味かも。マルミやトガワ等通った新宿のレコード屋は同じなので、どこかで遭遇しているはずだが。

六〇歳を過ぎた辺りから、ひたすらスイングするスタイルも好きになった。森山浩二も聴いてみたいと思う。

藤井武氏とは因縁がある。私が経営するジャズの店「国立ノートランクス」で年一回のペースで三回ほど「TBMを極める」なるイヴェントを、藤井氏を招いて催したことがあるのだ。録音秘話や高柳昌行氏の事など色々お話頂いた。二〇一四年もと考えていた矢先に会社が倒産する。

幸いにも音源の全てはソニー・ミュージックダイレクトに譲渡され、拡散するのは免れて、ディスク・ユニオンの手で最高の状態で製品化されている。そして決定的TBM読本がこうして完成した。有難う出版社。有難う小川隆夫さん。そして有難う、ご苦労様、藤井武さん。会社は無くなっても貴方のジャズに対する愛情、情熱は色褪せません。またいつか「TBMを極める」の続編をお願いします。
この記事の中でご紹介した本
伝説のジャズ・レーベル スリー・ブラインド・マイス コンプリート・ディスクガイド/駒草出版9
伝説のジャズ・レーベル スリー・ブラインド・マイス コンプリート・ディスクガイド
著 者:小川 隆夫
出版社:駒草出版9
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