田原総一朗の取材ノート「五月一九日「共謀罪」強行採決」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年5月30日

五月一九日「共謀罪」強行採決

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いわゆる「共謀罪」が、五月一九日に衆院法務委員会で強行に採決された。自民党と野党の日本維新の会が賛成しているので、強行採決ではない、と主張しているが、国民の多くは、共謀罪に強い疑問を抱いている。共謀罪を警察が実施すれば、自由にものがいえない監視社会になるのではないか、と恐れている。民進党や共産党も、そのことを強調している。

なにより、多くの懸念を残したまま、与党は質疑終局の動議を出して審議を打ち切ったのであり、乱暴きわまりない採決だ。それに金田法相は、まともな答弁が出来ず、肝心な部分になると官僚が出てきて説明した。担当大臣が答弁出来ない法案を押し通すなど、いわばムチャクチャである。

だが、それ以上に、根本的な問題がある。

政府は、共謀罪を成立させないと、国際条約であるパレルモ条約に加盟できないのだ、と強調している。パレルモ条約には全ての締約国を含めて一八七ヶ国が参加している。参加していないのは日本など一一ヶ国だけで、先進国は日本だけだというのである。

これは、先進国としてはなさけないかぎりで、だから何としても共謀罪を成立させなければならない、というのである。

だが、実はパレルモ条約は、マフィアなどの国際的な経済犯罪を取り締まるための条約で、テロとは関係ないのである。自民党は、共謀罪では、国民に与える印象が悪いので、テロ等準備罪という名称に変えたが、パレルモ条約はテロを対象にはしていないのである。

さらに重要なことがある。

実はパレルモ条約に加盟するのに必要な条件などないのである。現在の状態のままで、パレルモ条約に加盟できるのだ。

そのことを、民進党の幹部の何人もに確かめた。誰もが、その通りだと答えた。現在の状態のままで、パレルモ条約に加盟できるのだといった。

それでは、なぜ、そのことを国会で自民党に突きつけなかったのか、と問うた。どうも当初は、民進党の議員たちが、そのことがよくわかっていなかったようだ。何としたことか。
2017年5月26日 新聞掲載(第3191号)
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