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文芸同人誌評
更新日:2017年6月6日 / 新聞掲載日:2017年6月2日(第3192号)

秀逸で心に残る、新鮮な素材の詩-谷口岩雄 詩集「こめ(抄)」 才能をみせる、肩の力抜けた創作-宇高由妃「ひわださん」

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赤い薔薇白い薔薇が五、 六輪ずつ咲いている野川沿い      軽舟

季節はめぐり、桜の季節から、青葉と薔薇の季節になった。数年前に、犬友の一人の家には薔薇園があり皆で犬をつれて散歩がてら拝見に行ったことがあった。

初見の薔薇園は素晴らしかった。赤い薔薇、黄色い薔薇、白い薔薇、さまざまな薔薇が咲き誇っていて、陶然となった。

今月は第60回農民文学奨励賞受賞作品・谷口岩雄の詩集『こめ(抄)』(「農民文学」三百十五号)が秀逸で、心に深く残る。すこし引用してみよう。

「執念」〈遠い 遠い/
弥生の昔/おいらの先祖は/米づくりを知る/湿地を開き/荒地に鍬を入れ/川から水を引き/種を蒔く/米づくりの始まり〉

「米」が詩の素材になっているのが新鮮。

「言語文化34」(明治学院大学 言語文化研究所)は「特集 2016宮沢賢治生誕120年」を組んでいる。栗原敦「二十世紀の意味における宮沢賢治の意味の一側面」、吉田文憲「文字のざわめき」他。

「ベルク」一二三号。巻末の随筆「ベルクハイル」に会員が短文を寄せている。

関「シクラメンを夏越しさせて、今冬で二回目の冬となった。(中略)よく見るといつの間にか花芽がついている。初めて自分で咲かせるシクラメンは格別だ」

「第十二回 笠岡市木山捷平文学選奨」は、毎回、若い世代の作品が読めるのを楽しみにしている。次は詩部門の小・中学生の部の入選作から一篇。

「わたしのおとうと(北川小学校一年 ふくおかえで)」〈わたしのおとうとは、/きずなっていう。/二さいのおとこのこ。/いっしょにあそぶけど、/きずなは、/いじわる。〉  こんな調子で五連まで続く。

『「作家特殊研究」研究冊子6藤谷治』(法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻)は、授業の記録・2千字ほどの課題最優秀作品・宇高由妃の創作「ひわださん」が才能をみせている。肩の力が抜けている。

「火涼」七十四号。「特集追悼清水信」は清水信「戦争と文学」、伊藤伸司「みみからみみへ」、衣斐弘行編「追悼・〈表顔〉年譜」、青井奈津の小説など。

「椎名麟三―自由の彼方で」十五号(椎名麟三を語る会)は、平成二十七年度、姫路市芸術文化賞記念号。石見利勝「姫路市長祝辞」、たねの会「遠くて近い姫路」、斉藤末広「椎名麟三「母の像」、宮野光男「椎名麟三の平和論」、大谷隆子「椎名麟三と復活」など力作が寄稿されている。あらためて椎名麟三を偲んだ。

単行本で『宮原昭夫評論集』(言海書房)は、「自意識劇の変貌」「外界と内面の狭間」など。

その他、市原千佳子「眠る家」(「宮古島文学」十二号)、阿部千絵「散歩」(「全作家」一〇五号)、板橋和朗「日記に記す一万歩」(「美濃文学」九十五号)、立石富生「日を数える」(「火山地帯」一八九号)、岩崎明日香「青い幟が呼んでいる」(「民主文学」5月号)、高浜富士夫「旅立ち」(「詩と真実」五月号)、浅井梨恵子「厄介な問題について」(「MON」十号)にひかれた。
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