神父さま、なぜ日本に? ザビエルに続く宣教師たち 書評|(女子パウロ会)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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読書人紙面掲載 書評
更新日:2017年7月3日 / 新聞掲載日:2017年6月30日(第3196号)

神父さま、なぜ日本に? ザビエルに続く宣教師たち 書評
個性豊かな神父たちの素顔 
宣教師たちが今、私たちに教えてくれること

神父さま、なぜ日本に? ザビエルに続く宣教師たち
編 集:女子パウロ会編
出版社:女子パウロ会
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かねてより、“神父”という生き方を選んだ人たちの心の声を聞いてみたいと思っていた。もしかしたら約四百年前のキリシタン大名・高山右近という人物に興味を持ち、ひとつの物語を編んでいく過程で、当時の勇猛果敢な宣教師たちと出逢ったことも大きかったのかもしれない。ザビエル、ヴァリニャーノ、オルガンティーノ……。みな母国に留まっていれば相当裕福な暮らしが約束されていたにもかかわらず、いったん神の言葉が示されると、世界のどこへでも出向き、いのちも顧みず使命をまっとうしていく。生涯、神と人に奉仕していく道を選んだ彼らは何に喜び、何に苦しんだのだろう。

その答えを『神父さま、なぜ日本に?』のなかに見い出したような気がした。この本に登場するのは、戦後まもなく日本へやってきて、日本各地で宣教に従事してきた十五人の神父たちだ。ほとんどが二十代で来日。二度と家族には会えない覚悟で、ヨーロッパやアメリカから一ヵ月あまりかけて貨物船でやってきた。

そんな彼らが直ちに直面したのは言葉の壁。そこから涙ぐましいほどの日本語との格闘が始まる。だが(特に)地方の教会には思うように人が集まらない。だったら自分から出向いていけばいいと、小さなバスを自ら運転してミサに来たい人を迎えに行ったのは、広大な北海道の地に派遣されたマンフレード神父。

ほかにも建築現場の重労働をしながら日本国籍をとったドイツ人の留土神父、「生と死を考える」活動を通して日本社会にホスピス運動を推進していったデーケン神父、故チマッティ神父の偉大さや、十字架から降ろされたキリストを包んだといわれる聖骸布をひとりでも多くの人に知ってもらおうと今も情熱的に東奔西走の日々を送るコンプリ神父など、個性豊かな神父たちが続々登場する。

もちろん彼らも私たちと同じ人間だから何度となく挫折や苦しみに襲われる。だが彼らは不思議なくらい明るく、いい意味で呑気だ。何があっても最後は神様が助けてくれると確信しているのだ。

こうして来日から半世紀あまり。八十代、九十代となった神父たちは、今、口をそろえて言う。

「もしも再び二十代に戻ることができるなら、宣教師になって、また日本へやって来たい。日本は私の故郷です」

ふと一九一四年、ロンドンの新聞に出された有名な南極探検隊員募集の求人広告の文面が脳裏をよぎる。

「求む隊員。至難の旅。わずかな報酬。極寒。暗黒の日々。絶えざる危険。生還の保証はない。成功の暁には名誉と賞賛を得る」

そう、宣教師たちは神の名のもとに派遣された“冒険家”だったのだ。実に羨ましい人生がこの一冊には詰まっている。
この記事の中でご紹介した本
神父さま、なぜ日本に? ザビエルに続く宣教師たち/女子パウロ会
神父さま、なぜ日本に? ザビエルに続く宣教師たち
編 集:女子パウロ会編
出版社:女子パウロ会
以下のオンライン書店でご購入できます
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