第155回 芥川賞・直木賞 受賞作発表|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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更新日:2016年8月5日 / 新聞掲載日:2016年8月5日(第3151号)

第155回 芥川賞・直木賞 受賞作発表

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7月19日、都内で第155回芥川賞と直木賞の受賞作が発表され、受賞者の会見が行われた。受賞作は芥川賞が村田沙耶香氏の「コンビニ人間」(文學界6月号)、直木賞は荻原浩氏の『海の見える理髪店』(集英社)。

選考委員の会見では、芥川賞選考委員の川上弘美氏は「コンビニで生きる動物として生きるという非常に変わった主人公を設定としながら周りの人間も活写することで、かえって「普通」の人達に対する批判にもなっている。その全体が過不足のない描写力、ユーモアをもって描かれている。今でなければ書けない優れた作品だった」と評した。

直木賞選考委員の宮部みゆき氏は「圧倒的な読み心地の良さと心に残る短篇集だった。短篇集は読み終わったあとにどんなものだったか忘れがちなのだが、これは一つ一つ心に残った。熟練の技に選考委員たちが心を打たれたという意味でも高い点数を集め、最初の段階から非常に支持を集めた」と述べた。

コンビニ人間(村田 沙耶香 )文藝春秋
コンビニ人間
村田 沙耶香
文藝春秋
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受賞者の会見で、今もコンビニで働いている村田氏は、受賞後も働き続けたいかという質問に対して出来ることなら続けたいと答え、また今回コンビニを舞台としたことへの質問には、「コンビニは自分の聖域なので小説にすることはきっとないと思っていたのだが、なぜか急に書いてみようと思った。これまで働いてきたコンビニに対する愛情を作品にできたことは良かったと思っている。自分にとっては愛着のある場所を小説家として見つめ直した時に、小説の中ではグロテスクなものになる感じが面白かった。私は小説を書くことで自分が気づかなかった人間の一部を知りたいと思っているし、人間が好きという気持ちで書いているので、そこに人間の面白さやおかしさが表現出来ていたとしたら嬉しい」と語った。





海の見える理髪店(荻原 浩)集英社
海の見える理髪店
荻原 浩
集英社
  • オンライン書店で買う
荻原氏は「肩の荷が下りたような気持ちだが、いつも心の平和を保つために落ちた時のシュミレーションしかしていなくて、逆のパターンとなったのでどうしようかとちょっと戸惑っている」と受賞への気持ちを述べた。また記者から小説を書くときに心がけていることについての質問には、「小説の全体のリズムに気をつけて、また五感も大切にして常に働かせて書くようにしている。それと工夫しているつもりで意外と気づかれていないので、自分で言うしかないのだが、それぞれの主人公のボキャブラリーを合わせるようにしている。登場人物が例えば少年や少女たちだったら、彼らが知っている言葉だけで地の文も作り、逆に年配の人が語り部だったりすれば、新しい言葉を使わずにしゃべるようにして、あまり自分を全面に出さず、出てくる言葉もその人に合わせて書き分けているつもりだ」と、自身の文章の書き方の作法を明かした。
この記事の中でご紹介した本
コンビニ人間/文藝春秋
コンビニ人間
著 者:村田 沙耶香
出版社:文藝春秋
以下のオンライン書店でご購入できます
海の見える理髪店/集英社
海の見える理髪店
著 者:荻原 浩
出版社:集英社
以下のオンライン書店でご購入できます
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