田原総一朗の取材ノート「「威嚇の応酬」の危険性」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年8月18日

「威嚇の応酬」の危険性

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七月四日、二八日と、北朝鮮がICBMを連続発射して、世界の緊張度が急激に強まった。

そして八月五日、国連安全保障理事会で、北朝鮮に対する制裁強化案が、全会一致で採決された。

北朝鮮の石炭、鉄、鉄鉱石、海産物などの輸出を禁止し、北朝鮮から海外に働きに出ている労働者たちの、新たな受け入れを禁止するというのである。

これが履行されると、北朝鮮の輸出額の三分の一が削減されることになるという。これは北朝鮮にとっては大へんなダメージである。

それにしても、北朝鮮との対話を主張しつづけてきた中国やロシアが、なぜ、今回の厳しい制裁強化に合意したのだろうか。

実は、中国は北朝鮮の経済の九割近くにかかわりを持っている。そのために、トランプ大統領アメリカは、北朝鮮の核実験やミサイル発射をやめさせるために、習近平の中国が北朝鮮に圧力を加えることを期待していたのである。

ところが、中国は北朝鮮に圧力を加えるどころか、貿易量を四〇%も増やしているのである。その中国が、なぜ制裁強化に合意したのだろうか。

アメリカは、北朝鮮に圧力を加えない中国に苛立って、通商法三〇一条に基づく、対中制裁を検討しているといわれており、中国はそれを恐れて、国連安保理決議に合意したという見方もある。

ロシアも、ウクライナ問題などで、アメリカが新たな制裁案を決議していて、アメリカを刺激するのを避けたのだろうとみられている。

だが、国連安保理決議が行われて以後、アメリカと北朝鮮の威嚇の応酬は、逆に激しくなった。

北朝鮮は、中距離弾道ミサイル「火星12」を、グアム周辺を包囲するように射撃を検討していると発表し、トランプ大統領は、「これ以上アメリカを威嚇すると、世界がみたことのない炎と怒りを受けることになる」と脅し、すると北朝鮮は、中距離弾道ミサイル四発を島根、広島、高知の上空を通ってグアム周辺の海域に撃ち込む、と強調した。威嚇の応酬が火を吹く危険性もある。さて、日本としてはどうすべきなのか。
2017年8月18日 新聞掲載(第3203号)
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