田原総一朗の取材ノート「米朝間の緊張関係を解くには」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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田原総一朗の取材ノート
2017年9月5日

米朝間の緊張関係を解くには

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北朝鮮が、八月二六日に短距離弾道ミサイルと見られる飛翔体三発を発射した。

これに対して、日本の各紙は、米韓の「自制」評価に背く挑発、と報じた。

「火遊びで、緊張を高めるな」と、社説で怒りを示している新聞もある。

だが、実情は、大きく異なっているようである。

実は、韓国の文在寅大統領は、訪米してトランプ大統領との会談以後、早急に「北朝鮮のミサイル発射や核実験は止めさせる。そのかわり。米韓合同軍事演習は止めよう」と話していたようだ。

この合同軍事演習は、八月二一日から三一日まで行なわれ、そのことに北朝鮮が非常に神経質になっていて、げんに、二〇一四年、二〇一五年の合同軍事演習時には、北朝鮮は短距離弾道ミサイルなどを断続的に発射している。

とくに、七月に北朝鮮がICBMを連続発射して、米朝間の緊張は一挙に高まった。いつ火を吹いても唐突ではない。

だからこそ、文在寅大統領は、早急に公開軍事演習を止めよう、と話したのだ。

韓国の政府事情に詳しい人物によれば、文在寅氏は、米側に、米朝対話を口説いていたようだ。当然ながら、北朝鮮側にも打診していたはずである。

北朝鮮側の反応はわからないが、米側は、対話を拒んで、合同軍事演習の実施に固執したということだ。

なぜ、米側は対話を拒んだのか。

米国と北朝鮮の事情に詳しい、元外務省幹部が、米政府は、北朝鮮を全く信用していないからだ、と説明した。

そして、その原因は六カ国協議に対する北朝鮮の裏切りにある、と指摘した。

実は、二〇〇三年に、北朝鮮に対して核開発放棄を求めるために、日本、アメリカ、中国、ロシア、韓国、そして北朝鮮の六カ国協議が設けられた。ところが、北朝鮮は五カ国に秘密で核開発を進めていて、二〇〇六年一〇月に第一回目の核実験を行ない、二〇〇九年五月に二回目の核実験を行なった。五カ国は北朝鮮に騙されたのである。なかでも、米国の怒りは強烈だった。そもそも米朝の緊張関係を解くために設けられたのであった。

こうなると、きわめて難しいが、米朝間で火を吹かさないためには、どうすればよいのか。
2017年9月1日 新聞掲載(第3205号)
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