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漢字点心
更新日:2017年10月3日 / 新聞掲載日:2017年9月29日(第3208号)

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「空気感」や「温度感」に始まって、「インパクト感」「サイズ感」「コスト感」「スケジュール感」などなど、「○○感」ということばが流行しているのは、少し前から気になっていた。たいていは「感」がなくても意味の上では伝わるのだが、どこかアバウトな表現にしたいという意識から、「感」を付け加えてしまうのだろう。  と思っていたら、高橋和巳『日本の悪霊』を読んでいて、この作家も「○○感」をよく使うことに気づいた。たとえば、「耐えがたい空虚感」は「空虚さ」の方がふつうの言い方だろうし、「立っていられないほどの恐怖感」「胸いっぱいに絶望感を秘めて」などの「感」は、なくても意味は十分に通じる。  高橋和巳は、極度に抽象的で論理的な思考を、硬質な文体を駆使して小説という器に盛り込み、一九六〇年代の文学をリードした作家である。そんな孤高の作家にも、表現をあいまいにしたいような何かが、あったのだろうか?
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