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American Picture Book Review
更新日:2017年11月28日 / 新聞掲載日:2017年11月24日(第3216号)

『この小さな大統領』

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『この小さな大統領』はアメリカ合衆国歴代大統領のうち、とくに重要な10人をフィーチャーした絵本だ。見開きの左ページには各大統領のもっとも重要な業績が記されている。ジョージ・ワシントンであれば「このくにがまだあたらしいときの、はじめてのリーダーです」。右のページにはトリビア。F・D・ルーズベルトなら「はじめての、くるまいすのだいとうりょうでした」といった具合だ。

タイトル『この小さな大統領』は子供に親しみを持たせるためであり、どの大統領も二頭身のイラストで描かれている。対象は3~5歳だが、米国アマゾンのレビュー欄には1歳や2歳の子に読み聞かせているという書き込みがある。こうした絵本が出版されていること自体とともに、アメリカにおける大統領の位置付け、存在感を物語るエピソードだ。

就任期間が不確定な日本の総理大臣と異なり、米国大統領は4年もしくは8年の任期をまっとうする。それを前提に市民もメディアも腰を据えて大統領と対峙する。任期中、大統領は内政と外交でフル回転し、その日の言動が当日深夜のトーク番組で即、パロディとなる。政策施行の過程や成果はもちろん、ファースト・ファミリーとして家族も込みで夏休みやクリスマス休暇の様子までが逐一報じられる。各大統領は同時代を生きる市民に大きなインパクトを与え、かつ引退した後もアメリカの特定期間の歴史の象徴として永遠に人々の記憶に留まる。

この絵本と同じ趣旨の高学年用の本もある。そちらは歴代すべての大統領を網羅し、政策や歴史背景が書かれている。今年1月にトランプが第45代大統領に就任した直後、さっそくトランプを加えた改定版が出されている。だが、『この小さな大統領』は昨年の大統領選のさなかに出されたものだ。最後のページには44人の大統領のイラストが任期順に並び、オバマ大統領の次は「?」になっている。そして、「ヘイ!いつか君が大統領になるかもしれないよ!」と書かれているのである。

◇掲載大統領:ワシントン(初代)、アダムス(2代目)、ジェファーソン(3)、リンカーン(16)、グラント(18)、セオドア・ルーズベルト(26)、フランクリン・ルーズベルト(32)、ケネディ(35)、レーガン(40)、オバマ(44)
この記事の中でご紹介した本
This Little President: A Presidential Primer /Little Simon
This Little President: A Presidential Primer
著 者:Joan Holub
出版社:Little Simon
以下のオンライン書店でご購入できます
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