【横尾 忠則】日常の意識はタテ前、夢の中の意識はホン音。|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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日常の向こう側ぼくの内側
更新日:2017年11月28日 / 新聞掲載日:2017年11月24日(第3216号)

日常の意識はタテ前、夢の中の意識はホン音。

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2017.11.13
 9時半にアトリエに来るためには軽井沢駅始発5時の新幹線に乗車、ここに来る前に新宿でひと仕事の中田先生は40代、寒い軽井沢からTシャツ一枚で病気知らずの整体師。足の裏には全身のツボが集中、そこを片端からグイグイと押しつぶすように揉む。最初は悲鳴を上げるが、今ではイタキモチイイ。中にはスヤスヤ眠る人もいるという。

夕方、帰宅するなり頭痛、隣の水野クリニックの先生に☎、鎮痛剤を処方してもらうが、その前に飲んだ葛根湯で頭痛鎮静。

ぼくに代って妻の膝に激痛が走る。「明日、整形外科に行こうと思う」が、その前に病い万屋の薬剤師の安坂さんに☎でこと細かく治療法を教わる。いざという時に医者を友に持て、と言うが、薬剤師と整体医も友に持つがいい。

2017.11.14
 「アイデア」の特集のために伊藤亜紗さんのピンクガールについてのインタビューあり。伊藤さんは磯﨑憲一郎さんと同じ東京工業大学の教授で文学担当。彼女の予期せぬ質問に予期せぬわが回答にオヤオヤ。

カルティエ現代美術財団からアーティストの肖像画6点追加依頼。ブルース・ニューマン、クリスチャン・ボルタンスキー、デヴィッド・リンチら。

ポンピドゥ・センター・メッスで開催中の日本の現代美術展の記事がニューヨーク・タイムズに掲載、わが作品の展示風景がカラーで紹介。

2017.11.15
 岡部版画工房制作の版画が刷り上ったので全作品にサインを入れる。一作が40~50版は異例。油彩画の再現がどこまで可能かに挑戦。

2017.11.16
 開演前の宝塚劇場内で鳳蘭さんとバッタリ。彼女とは何度も会っているのにいつも「初めまして」と言う。ジョークなのか忘れているのかわからん。でも今朝の夢の中では初めて「初めまして」とは言わなかった。

オノ・ヨーコさんからアメリカでベストセラーになった日本語版『食事のせいで、死なないために〈食材別編/病気別編〉』と『脳はいかに治癒をもたらすか』の3冊が送られてくる。お互いに興味の対象が一致する年齢なのよね。

夕方、ヘアーセットにピカビアへ。ここの2階に整体治療院があることを知る。

2017.11.17
 早速、昨日の治療院へ妻の膝治療に同行。ぼくも試しに受けてみるが、数日前からの腰痛ケロッと即効性あり。その後、眠気に襲われ、アトリエで仮眠。

夕方まで制作。

2017.11.18
 ブローニュの森? 巨石が散在。そこを大勢の人達が無言で一方向に歩いている。ぼくもその中のひとりだが、連れがいるのかどうかは不明。歩いている人達は一様に白っぽく見えるが生気に乏しい。死者の行列といっても不思議ではない。これに似た夢は以前にも記憶がある。

夢はぼくにとって現実と同様に重要な体験だ。時には現実以上の価値あるメッセージのような気がする。日常の意識はタテ前のところがあるが夢の中の意識はホン音だと思う。いや絶対にホン音だ。自分の本性を知りたけりゃ夢を観察すればいい。シュタイナーは人間にはエーテル体とアストラル体が存在していて、エーテル体を肉体の中に残して、アストラル体だけが肉体から離脱して、夢を見るという。肉体が醒めると同時にアストラル体は肉体に戻り、エーテル体と合体したアストラル体が見た夢を語る。まあぼくの乏しい知識によるとこーいうことではないかな。

目が覚めたらまだ12時前だ。実家のトイレを出たところで、おでんと20数年前に死んだルンの2匹が仲良くやってくる。夢の中では死者と生者が同一空間を共有している。
映画のロケーション現場にて(撮影・筆者)

2017.11.19
 なぜかぼくはタキシードを着て、自分の主催する会合に行こうとしている。その建物に入るためには千丈の谷の間に架かる梯子を渡らなきゃいけない。昨日の夢も今日のこの夢も死後の審判を受けるためのシミュレーションみたいだ。夢だからこそ生きながらに死が体験できると思えばラッキーだ。

11時半に濵田さんが来て増田屋で釜あげうどんを食べて、映画のタイトルバックになる家の撮影に行く。オープンロケーションは物々しくてザワザワしていて祭り気分が辺りを支配する。この家はY字路になっていて絵が次第に動画に変っていく仕掛けである。

成城に戻って山田さん、濵田さん、房さんらと甘味屋へ。

野良猫の子供達を狙う子殺し猫がいるが、その子猫達を護るオス猫がいることを猫の生態を研究する若い学者が「初めて知った」と驚くテレビ番組を見た。以前わが家の子猫も子殺しの猫に殺された。その死んだ子猫をメスの親猫が食べてしまったことがあった。
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